更新日:2020/12/22
HER2陽性例への新しい治療が次々と サンアントニオ乳癌シンポジウムより
2013年12月10日~14日、米国サンアントニオで“サンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS2013)”が開催され、今後の乳癌治療への道となる研究成果が次々と発表された。中でもHER2陽性例へ治療薬はここ数年、多くの開発が進められており、今回のSABCS2013でもHER2陽性例に関する発表が多く行われた。
例えば、京都大学の戸井雅和氏によって発表された“トラスツズマブとビノレルビンにエベロリムスを追加することは、アジア人でも有効で安全”という、フェーズ3試験BOLERO-3のアジア人の解析で示されたものがある。BOLERO-3試験には、日本を含む21カ国から159施設が参加し、局所進行または転移を有するHER2陽性進行乳癌で、タキサン系抗癌剤による前治療を受け、トラスツズマブによる治療で再発または進行を認めた患者が登録された。全体では569人が登録されたが、このうちアジア人はエベロリムス群が88人(同52歳)、プラセボ群(同53歳)だった。戸井氏は、アジア人では症例数が少なかったために有意とならなかったと考えられるとしていたが、アジア人における奏効率は、エベロリムス群40%、プラセボ群37%で、非アジア人ではエベロリムス群41%、プラセボ群37%となり、アジア人でもその有効性が示唆された。
一方で、HER2陰性例への治療薬は、HER2陽性例よりも少ないといえる。例えば今回のSABCS2013でも、カナダCross Center InstituteのJR Mackey氏より、HER2陰性患者を対象としたプラセボとドセタキセルを投与する群とを比較したフェーズ3試験“ROSE試験”の結果の詳細が発表されたが、ROSE試験では主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を延長しながらも有意な差を達成できなかったことが既に公表されていた。
確かに、HER2陽性例の方が悪性度が高いが、患者割合としてはHER2陽性が乳癌患者全体の15~25%といわれており、HER2陰性患者の方がはるかに多い。つい先日も、WHOが“全世界での乳癌発症率は肺癌に次いで増加している “と発表したばかりだ。今後、HER2陰性例への新しい治療薬の開発にも期待したい。
(Medister 2013年12月16日 葛西みゆき)

乳がん: 治療・検査・療養 (国立がん研究センターのがんの本)


















