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世界的に中咽頭癌が増加傾向 HPVが関連している可能性
更新日:2020/12/22
世界的に中咽頭癌が増加傾向 HPVが関連している可能性
NCI(アメリカ国立癌研究所)は2013年11月20日、世界中で中咽頭癌患者が増加傾向にあると発表した。NCI癌疫学・遺伝学部門Anil K. Chaturvedi医学博士らによる当研究の結果が、Journal of Clinical Oncology誌電子版2013年11月18日号に掲載されている。 中咽頭とは軟口蓋、扁桃、後壁、舌根を総称した名称であり、この部位に出来る癌を中咽頭癌とよぶ。中咽頭癌は、発生する組織や細胞の由来によって、粘膜上皮から発生する扁平上皮癌、悪性リンパ腫、粘膜下に存在する付属腺から発生する腺癌などがあるが、扁平上皮癌が最も高頻度であるといわれている。 Chaturvedi氏らは、特に経済的先進国において、1983年から2002年にかけての中咽頭癌の発生率が著しく増加していると報告した。近年、世界的にも中咽頭癌の発生率が増加しており、ヒトパピローマウイルス(HPV)が要因である可能性も指摘されていた。Chaturvedi氏らが23カ国18万人以上の癌患者登録データを用いて、中咽頭癌および口腔癌の発生率に関する傾向を調べた結果、男女ともに中咽頭癌の発生率は増加していた。男性では特に経済的先進国(アメリカ、オーストラリア、カナダ、日本、スロバキア)にて中咽頭癌の発生率増加がみられたが、同国内での口腔癌および肺癌は減少する傾向にあった。一方、経済先進国で特に女性に著しい発生率増加が認められた国(デンマーク、エストニア、フランス、オランダ、ポーランド、スロバキア、スイス、イギリス)では、口腔癌および肺癌も増加傾向にあった。Chaturvedi氏らは「特に男性の間でこのような結果になった原因として、HPVの感染が考えられるが、HPV感染および喫煙以外にも、何らかの要因が中咽頭癌の発生率増加に関与していることが示唆される」としている。また、予防的なHPVワクチン接種により、口腔内のHPV感染を防ぎ、男女問わずワクチン接種によってさらなる恩恵があるのではないか、と指摘している。 日本における中咽頭癌は、年間1,000~2,000人程度に発症する比較的稀な癌とされている。しかしHPVワクチンの接種においては、現在未確定な部分もあり、今後はワクチン接種との関連性も検討する余地があるのかもしれない。 (Medister 2013年12月9日 葛西みゆき)
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