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更新日:2023/03/17

ラジエーションハウス 6巻

『ラジエーションハウス 6巻』書評

原作:横幕 智裕/マンガ:モリ タイシ
出版社:集英社
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診断という重要な役割を担っている放射線科では、医師と放射線技師がチームとなって診断にあたります。実際に診断を行う場面を目にすることはありませんが、私たちの知らないところで、より正確な診断に向けて様々な取り組みが行われているのです。

医師と技師の住み分け

第六話は、診療部長の鏑木医師と院長である大森渚医師の会話からはじまります。診療放射線技師に読影をさせることに否定的な鏑木は、技師による読影は医師法違反であると忠告します。それに対して大森は、技師はあくまでも所見を述べているに過ぎず、診断は医師が行っているため問題はないと突っぱねるのでした。医師には医師の責任があり、技師には技師の責任があるということを強調し、何かあった時には自分が責任をとると断言したのでした。

おもしろくない鏑木は唯織には何か秘密があるのではないか、と唯織に関する情報を集めはじめるのです。

院長大森の想い

鏑木は、唯織が職場を転々としていたため履歴書をみることもなく不採用にしましたが、唯織は医師免許を持ちながら技師として甘春病院の求人に応募していたのです。大森は留学中に高名な教授の講義の席に唯織がいたことを覚えていました。しかも唯織は教授に一目おかれた存在だったのです。大森は不採用となった唯織に連絡をとり、技師として採用。採用された唯織は、医師免許を持っていることは内緒にしてほしいと頼みます。病院側も唯織の希望通り、医師であることは伏せていたため、唯織は技師として勤務をはじめたのでした。

大森は循環器内科を専門とする医師。この領域では薬物が治療のメインでしたが、IVRという技術によって心臓カテーテル治療が可能となり、大森はIVRの実績を重ねてきました。それまでにはない新しい技術が登場してきたことで、診療科の横のつながりの必要性を感じるようになっていたのでした。

領域や職種による住み分けが重要であることは否定しないものの、専門家の壁が厚いことは患者のためにはならないという考えを持っていたのです。そんな背景もあり、大森は唯織の存在が今後の医療界を変えてくれるのではないか、そんな期待を抱いていたのでした。

治療におけるチーム医療

鏑木は、唯織がきてからというもの、杏と技師との距離感が近くなったことに自分の存在価値が薄れているのではないかと感じていました。そんな時、鏑木の存在感を示す絶好のチャンスが到来するのです。

その日、鏑木は学会の講演のため病院を留守にすることに。鏑木医師といえば骨軟部腫瘍の第一人者として知られた存在でした。留守を任されたのは杏と嘱託の医師だけです。そこへ救急搬送されてきたのが消化管出血の疑いがある45歳の患者でした。仕事中にめまいを訴え搬送されてきた男性は会社の社長で、カルテには大腸がんの既往がありました。杏たちは、出血は大腸がんによるものと仮説を立て診断を進めます。造影検査で大腸がんによる出血と判断し、止血するも出血はとまりません。そうこうしている間にも血圧が低下していきます。出血を止めるためにはIVRしかないことはわかっていても、杏はひとりで施術した経験がありません。嘱託の医師も転科してきたばかりで同様に経験がありませんでした。鏑木医師の帰りを待つ時間的な余裕もなく、杏は自らIVRを行うことを決断するのでした。

患者に付き添ってきた社員からは社長がいないと会社が回らない、何とかしてほしいと懇願される杏。自分にできるだろうか。杏の不安が高まるなか唯織は自分がサポートすると伝え、杏も施術へと踏み切るのでした。

その時、ちょうど病院に訪れていた医療器機メーカーで営業を担当している武田が、この状況を鏑木に連絡するのです。この時こそ自分の存在をアピールできると考えた鏑木は懇親会への参加を断り病院へと引き返すのでした。

鏑木不在の中行われるIVR。本著ではIVRの詳しい解説も記載されているので、IVRとはどんなものなのかもわかります。

診断は時に一刻を争うことがあります。瞬時の判断が命を左右することも決して少なくありません。診断に限ったことではありませんが、医療というのはチームで行うもの。それぞれの職種が専門性を最大限発揮することで、より良い医療が実現するのです。

今回のストーリーは、医療におけるチームワークの重要性が体現できる内容です。日々病院内で繰り広げられているチーム医療について理解できるかもしれません。

執筆者 美奈川由紀 看護師・メディカルライター

国立療養所南福岡病院(現・国立病院機構福岡病院)附属看護学校卒業。看護師
看護師の経験を活かし、医療記事を中心に執筆
西日本新聞、週刊朝日、がんナビ、時事メディカルなどに記事を執筆
著書に「マンモグラフィってなに?乳がんが気になるあなたへ」(日本評論社)がある

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