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更新日:2023/02/10

がんにならないシンプルな習慣

『がんにならないシンプルな習慣』書評

佐藤典宏(産業医科大学 第1外科 講師)
出版社:青春出版社
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国立がん研究センターによると2019年のがん罹患者数は約101万7千200例と予測されています。この数値は毎日2700人以上の人ががんの告知を受けている計算になるとのこと。がんは誰が罹ってもおかしくない病気となった一方で、がんについて正しく理解している人は少ないようです。

この本の著者は大学病院で外科医として勤務する佐藤典宏医師。すい臓がんを専門に、これまで1000例以上の手術を担当してこられました。そんな中で、がんに罹りにくい人、治療がうまくいく人、治療後に再発しにくい人の傾向がみえてきたといいます。本著は佐藤医師の経験を基にがんにならないシンプルな生活習慣についてまとめられた一冊です。

がんをはねのける人の共通点とは

同じステージの患者さんに同じ治療を行っても、治療がうまくいき平穏な生活を送る人もいれば、すぐに再発する人もいると佐藤医師はいいます。佐藤医師によると、治療がうまくいく人にはがんに対する考え方や価値観、心構えや向き合い方に共通点があるとのこと。

うまくいく患者さんは告知されてもがんを受け入れて必要以上に怖れなかったり、落ち込んでも引きずったりしないタイプの人が多いのだそうです。その他にも治療法を医者まかせにするのではなく自分で決定したり、いつも笑顔でいたり、趣味や好きなことをあきらめずに続けたりするところが共通しているといいます。こういったものごとに対する心の持ち方、考え方はマインドセットと呼ばれるそうで、心の持ち方は治療や予後に影響を及ぼすのだそうです。

がんと告知されるとダメージを受けるのはあたりまえ。時には治療がうまくいかないこともあるかも知れません。でも、そんな時でも前向きな姿勢でいることが大切です。佐藤医師は一日に何度か鏡を見て笑顔を作ることを推奨しています。笑うことで考え方が前向きになり免疫力が高まることでからだががんに立ち向かうことができるからだそうです。

食事とがんとの関係性について

本著では生活習慣の基本のひとつである食事についてデータを示しながら解説しています。食事とがんについては、これまでさまざまな研究が行われています。

食事といえば、塩分を控えるとか肉類よりも魚類を多く摂った方がいいなど、糖尿病や高血圧の人であれば指摘された経験があると思います。これらのことはがんにおいても共通していえることだと佐藤医師はいいます。

例えば、胃がんにおいては塩分摂取量の多い男性は少ない男性と比べてリスクが2倍以上も高かったという研究結果もあり、塩分を減らすことでがんのリスクを低減させることが示されているとのこと。また、防腐剤や保存料などを多く含む「超加工品」に関する大規模な研究からは、摂取割合が10%増加することで全てのがんの発症リスクが12%増加し、乳がんにおいては11%高まることが明らかになったそうです。

そして、佐藤医師によると食事を摂るタイミングがポイントだといいます。特に夕食の時間が重要で、その日最後の食事を21時以降に摂る人の場合、乳がんに罹るリスクが1.5倍、前立腺がんのリスクは2.2倍高まることが報告されているそうです。また、夕食後2時間以上経ってから就寝したグループで乳がん、前立腺がんともに発症が低下するといった研究結果もあるそうです。

適度な運動と適正体重ががんの予防に

食事と同様、運動もがんとの関連が指摘されている要因のひとつです。同著には、日本人約8万人を対象に行われた研究の結果が紹介されています。それによると運動量が多い人の場合、少ない人と比べてがんの発症リスクが男性で13%、女性で16%低いことがわかったそうです。がんの種類別でみてみると、男性では結腸がん、肝臓がん、すい臓がん、女性では胃がんにおいて運動によるリスクの低下がみられたとのこと。運動を定期的に行うことで血糖値の上昇やインスリンの分泌を抑えたり、肥満を予防したりする効果があると考えられているそうです。

肥満は糖尿病や高血圧などの生活習慣病をはじめ、がんの発症リスクともなるため、適正体重を保つことが重要とされています。適正体重はBMIで表され、標準的な数値は18.5~25未満。計算式は本著に記載してあるので、興味のある方は計算してみるとよいでしょう。

いまでは生活習慣病のひとつといわれるようになったがん。日頃の生活習慣を改善することでがんのリスクを減らすことが可能です。本著では、食事や運動のほかにもタバコやお酒など嗜好品とがんとの関係についても解説されています。本著を参考に、がんにならない生活習慣を身につけてみてはいかがですか

執筆者 美奈川由紀 看護師・メディカルライター

国立療養所南福岡病院(現・国立病院機構福岡病院)附属看護学校卒業。看護師
看護師の経験を活かし、医療記事を中心に執筆
西日本新聞、週刊朝日、がんナビ、時事メディカルなどに記事を執筆
著書に「マンモグラフィってなに?乳がんが気になるあなたへ」(日本評論社)がある

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