医療用ウィッグで、全国の女性がいきいきと過ごせる社会の実現をめざす

医療用ウィッグ

抗がん剤治療や放射線治療をはじめた女性の悩みは、脱毛やシミ、肌荒れなどといくつかあります。そのなかで、とくに大きな悩みが、脱毛だといわれています。脱毛は、放射線治療や抗がん剤の副作用であり、一般的に脱毛初期から約6カ月~1年経てほぼ回復に至ります。しかし、この間の容姿の変化はQOLに大きな影響を及ぼし、多くの女性が精神的苦痛を伴う傾向にあります。

そのケアとして普及しているのがウィッグ(かつら)です。しかし、ウィッグにまつわる知識は意外にも浸透していなく、実は「一般用」以外に「医療用」のウィッグがあることや、費用についても珠玉混合で数万〜数十万円の差があることもあまり知られていません。

そこで今回は、医療用ウィッグに注目しました。一般用ウィッグとの違いとは何か?また、相場はどのくらいなのか?など、さまざまな疑問を、医療用ウィッグメーカー「株式会社セラヴィ」の取締役・永井久貴氏に聞きました。同社の展開する医療用ウィッグ通販サービス「アンベリール」には、抗がん剤の副作用や円形脱毛症など、脱毛で悩むあらゆる全国の女性患者から相談が集まっています。

注目が高まる女性向け医療用ウィッグを専業にした株式会社セラヴィ

−−はじめにお客さまのニーズや業界動向など、医療用ウィッグ業界についてお聞かせください。

まず、医療用ウィッグに対する世の中の注目度は、ここ5年間くらいで非常に高まってきています。しかし、ウィッグが必要な女性の視点からすると、経年の脱毛でも抗がん剤による脱毛でも、 必要なのは“ただのウィッグ”という認識が一般的です。つまり、一般用ウィッグとの使い分けが広く浸透しているとは言えません。

その大きな原因としては、“同じ脱毛症状だから”と、ひとまとめにウィッグが販売されてきたことです。また、ウィッグが医療機器対象外であり、医療控除を受けられない社会背景もあると考えています。

ただ一方で、2015年には、経済産業省が医療用ウィッグのJIS規格を制定し、近年では購入費用の助成を行う自治体も増えており、保険の一部で購入費用を保証する医療保険サービスも登場しています。このように、「患者さまのQOLをどう維持していくか」に社会が取り組みはじめており、今後、医療用ウィッグの認知・需要はますます進んでいくものと感じています。

上記について

−−医療用ウィッグと一般用ウィッグにはどのような違いがありますか?

まず、医療用ウィッグは患者さまの頭皮への影響を最大限考慮して製造されていることです。

ウィッグを装着する際には、「下地ネット」というものを被ります。下地ネットは頭皮に直に密着する部分で、ここが硬い素材であったり、蒸れてしまう構造であったりする場合、毛髪の再生や回復に悪影響を与えかねません。この点を考慮し、肌にやさしく、かつ通気性もよくて、回復期に向かう頭皮に影響を与えづらい仕様で製造されているのが医療用ウィッグなのです。

見た目についても、患者さまのQOLを損なわないよう製造されているのも特徴です。実際に本物の毛髪や頭皮と比べても、ほぼ判別がつかないという声が多々あります。

−−医療用ウィッグを専門にする会社はまだ少ないと聞きます。なぜ専業にされたのですか?

きっかけは、弊社の代表取締役である千頭和(せんずわ)との出会いでした。

医療用ウィッグ

私はもともと、大手のウィッグメーカーに勤務しており、通販事業部の立ち上げなど新規事業を手がけていました。通販事業は成功し、より成長できる見込みも立っていました。しかし、私と会社の方向性について、齟齬が次第に目立つようになっていきました。簡単に言えば、「よいものを安く提供する」私の考えが通りづらくなり、独立を考えるようになりました。

その気持ちを後押ししたのが、千頭和の体験談と思いでした。

千頭和の母のことなのですが、がんを患い、抗がん剤や放射線治療の副作用から脱毛が生じました。母の生活を案じた千頭和はウィッグの資料を取り寄せます。しかし、さまざまな資料に目を通しても、価格帯は30万〜50万円。よいものを求めれば70万円とあまりに高価でした。がんになると、QOLの維持にも多大なお金がかかり、おしゃれも気軽に楽しめない環境があることを実感したそうです。そこから、「母のようにウィッグを必要としている女性の生活に寄与したい」との思いに至ったといいます。その話を聞き、共感して、ともに女性のQOLに貢献していこうと立ち上げたのが弊社です。

低価格・高品質の医療用ウィッグ販売に加え、ホスピタリティも備えた通販サイト「アンベリール」

アンベリール

−−御社運営の医療用ウィッグ通販サイト「アンベリール」の特徴を教えてください。

「価格」「品質」「サービス環境」、それぞれに大きな特徴があります。

まず価格について。驚かれるお客さまも多いのですが、弊社は医療用ウィッグを大手メーカーの3分の1以下の価格で販売しています。通常、ウィッグは医療用に限らずほとんどが海外生産です。生産工場からお客さまのもとに届くまでの流れは、工場→複数の卸業者→輸送業者→配送業者→販売業者→販売店→お客さまが一般的です。このようにたくさんの中間マージンが発生し、そのコストはウィッグの価格に反映されます。

一方、弊社では海外の生産工場と直接提携を行って製造しており、卸売業者を仲介していません。それゆえ、販売価格を大幅に下げた提供を可能にしています。また、生産工場とダイレクトにつながることで、品質の均一化と向上も図れ、高品質の製品を提供できる環境を整えています。

また、品質についてはウィッグ自体の品質に限らず、サポート環境も充実させています。ある種、“使い捨て”というイメージをお持ちのお客さまもいるのですが、そうではなく、ウィッグは定期的なメンテナンスで長期間ご使用いただけるものです。弊社では、クリーニング、カット・スタイル調整、部分増毛など、気に入ったウィッグを安心して長期間お使いいただけるサービスを複数ご用意しています。

サービス環境については、店舗展開は1店舗のみで、主軸はインターネット販売です。従来の店舗販売にかかる物件コストや人材コストを限りなく抑え、その分をウィッグ価格に還元しています。加えて、近くに医療用ウィッグの販売店がないお客さまでも、スマートフォンやパソコンを使って気軽に検討・購入できる環境を整えています。

−−インターネット販売は、まさに時代に合ったスタイルだと感じます。一方で、インターネット、対面でのサービスの差はありますか?

従来の対面販売では、「しっかりとカウンセリングを受けられる」というメリットの反面、「人目につきたくない」というお客さまのご不安もあります。インターネット販売に主軸に置いているのは、その不安を解消できる環境を実現するためでもありました。

一方カウンセリングでは、対面販売よりお客さまのニーズを把握することが難しくなります。そこで、弊社が提供しているのが「お試し無料試着」です。数あるサンプルの中から2つのウィッグを選んでもらい、自宅でご試着いただく。ご自身に合ったウィッグとヘアスタイルの希望を弊社にお伝えいただいて、完成品を提供するというサービスです。

95種類の基本スタイルに、ご要望に応じたアレンジも可能

−−対面販売でなくても、自分にぴったり合うウィッグを選べるサービスなのですね。

販売スタイル

はい、これまでのお客さまの声を見ても、ご満足いただけていると感じています。もちろん、オーダーメイドをお求めになる場合、対面販売にメリットがあります。しかし、先ほどの人目につかず検討したい場合に加え、忙しい時間を縫ってウィッグ選びをしなければいけない不便を考えると、無料試着がお客さまに貢献できている部分は大きいと確信しています。サンプルの郵送やご返却についても送料は無料です。ご返却は電話1本で宅配業者に集荷してもらえるようにするなど、試着から注文に到るまで、お客さまの利便性を追求しているのも、弊社ならではの特徴だと思います。


脱毛で悩まず、女性が生活をエンジョイできるサービスを!! 医療用ウィッグの啓発とよりよい製品開発にこれからも取り組んでいく

−−今後の展望をお聞かせください。

今後も変わらず、医療用ウィッグの必要な女性が、安心して自分に合ったものを購入できる環境づくりに邁進していきます。

当座の目標としては、「さらに高品質なウィッグの開発」ですね。そして、それを現在のような低価格帯で提供していきます。

永井久貴

医療用ウィッグの現状を俯瞰すれば、患者様にとって身近な存在とはいえません。なぜかといえばまだまだ「手軽に購入できない価格のものが多い」からです。治療にも多額の費用が必要なのに、さらにウィッグでもお金がかかるのでは、いつまで立っても女性に安心な環境とはいえません。そこを、絶えず「よいものを安く提供していく」ことで、変えていきたいと思っています。そうすれば、患者さんとってよい市場をつくれます。それは、低価格かつ高品質を命題にしてきた私たちこそが、成し遂げるべきミッションだと考えています。

−−最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

まず、ウィッグには医療用があること。次に、決して高額なものばかりではないことです。そして、購入費助成を行う自治体もあるということをみなさまに知っていただければと思います。

また、弊社のように手軽に検討でき、安価でよいものが購入できるお店があることも、ぜひ知っておいていただければと思います。極端に感じるかもしれませんが、今や、従来の相場で数台のウィッグを購入することも可能です。無理のない出費で、外出先や気分に合わせてヘアスタイルを楽しむことができる世の中なのです。医療用ウィッグをご検討中の方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。

【取材記】

今回の取材で、医療用ウィッグへの注目が高まっていること、手軽に購入できる環境になりつつあることがわかりました。

アンベリールのように提供価格にこだわり、全国の患者さんがいつでもどこからでも購入できる通販サイトがあるのは頼もしい限りです。永井さんのお話にもありましたが、いくらよいものでも多大なお金がかかり手間も必要では、普及は進みません。がんを治療しながら働くことも可能になった現代。手の届きやすい医療用ウィッグは、ますます需要を伸ばしていくのではないでしょうか。

<参考>
自治体の医療用ウィッグ購入費補助、助成金例(平成30年6月27日現在)

<東京都>
港区
名称:がん患者ウィッグ等購入費助成金
上限:30,000円
問合せ先:健康推進課 健康づくり係

<神奈川県>
横浜市
名称:ウィッグ購入助成制度
上限:10,000円
問合せ先:横浜市医療局がん・疾病対策課

大和市
名称:大和市がん患者等ウィッグ購入費助成事業
上限:30,000円
問合せ先:健康福祉部 健康づくり推進課

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