• Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集

切除可能膵がんの新たな標準治療として術前化学療法の有効性を証明

東北大学病院総合外科科長の海野倫明教授が代表を務める膵癌術前治療研究会は、切除可能膵がんであっても、すぐに切除手術を行うより、術前化学療法を行った後に手術をする方が良好な治療成績が得られることを、世界で初めて明らかにした。

膵がんは、あらゆるがんの中で最も治療成績が不良な「最凶のがん」と呼ばれている。がんをすべて取り切る手術(治癒切除)を行うことが、長期生存をもたらす唯一の方法であるが、その治療成績はいまだ満足すべきものではなく、成績向上が急務と考えられている。今回、切除可能膵がんに対して、塩酸ゲムシタビンとS-1の併用療法(GS療法)による術前化学療法の有効性を評価するためのランダム化比較試験(Prep-02/JSAP-05試験) を企画し)、2013年1月から患者登録を開始した。日本全国57施設の医療機関から切除可能膵がんと診断された364例の患者が登録され、標準治療群(手術先行群)と、試験群(術前治療群)にランダム化割り付け(1:1)を行い 、治療成績を観察した。

その結果、手術先行群は平均生存期間が26.65ヶ月であったのに対して、術前治療群の平均生存期間は36.72ヶ月と、有意に生存期間が延長することが明らかになった。2年生存率は、手術先行群は52.5%であったのに対し、術前治療群は63.7%と良好で、術前治療を行うと死亡リスクが28%減少することが分かった。術前治療による副作用などの有害事象は白血球減少、好中球減少などであり、重篤なものはなかった。

この結果より、たとえ切除可能な膵がんであってもすぐに切除を行うのではなく、まず化学療法を行い、その後に手術を行う戦略(ネオアジュバント治療)が、切除可能膵がんの もっとも優れた治療法(標準治療)となることを、世界で初めて明らかにすることに成功した。

今回の成果により、膵がんの診療ガイドラインが改定され、切除可能膵がんの標準治療に術前化学療法が取り入れられるとともに、国内の医療機関で広く実施されることにより、膵がんの治療成績の向上が期待される。
(Medister 2019年4月4日 中立元樹)

<参考資料>
東北大学病院プレスリリース 切除可能膵がんの新たな標準治療として術前化学療法の有効性を証明 – がんのなかでも最も治療成績が不良な膵がんの治療成績が向上

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類