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人工知能による食道がんの診断 -AIによる内視鏡画像診断支援システム-

公益財団法人がん研究会有明病院の由雄敏之医師(上部消化管内科副部長)、堀江義政医師(上部消化管内科医員)と株式会社AIメディカルサービスの多田智裕医師(ただともひろ胃腸科肛門科院長/東京大学医学部客員講師)らの研究グループが開発した人工知能(AI)を用いて、食道内視鏡静止画像の中から食道がんを検出できることを示した。

食道がんは飲酒喫煙を危険因子として発生し、男性では6番目に死亡率の高い悪性腫瘍で、早期での発見は内視鏡検査でも難しい場合がある。検出される際も、進行癌で見つかることがまだ多く、進行癌の予後は良くないことがほとんどである。しかし、他の癌と同様に早期に発見できると予後も良く、内視鏡的切除のような体への負担の少ない治療が可能であるため、早期発見が重要である。

そこで、本研究グループは最先端のAI技術であるニューラルネットワークを用いたディープラーニングを活用し、8,428枚の食道がん内視鏡画像をAIに学習させ、がん検出力の検証をした。その結果、検証用の内視鏡画像1,118枚から全食道がんの98%、10mm未満の食道癌では7病変全て検出することができた。食道癌の進行度判定(表在型食道癌または進行型食道癌)においては98%の精度で正診した。これらは熟練した内視鏡医に匹敵するものだという。また、1,118枚の画像の解析に要した時間は27秒であり、解析速度は、人間の能力をはるかに超えるものであった。さらに、本システムは動画も解析処理させることができ、リアルタイム診断支援の可能性も示すことができた。

内視鏡診断支援システムのAI はさらに学習することで診断精度を向上させることができるという。AIが決まった正常部位を間違って食道がんと検出してしまうこともあるが、それらを非食道がんとしてAI に学習させることにより改善が期待される。本システムを今後さらに改良を行い、臨床評価と実用化に必要な手続きを進め、医療現場に実装することを目指していく方針だという。

これまでにAIを活用した食道がん内視鏡診断の報告はなく、本報告は世界初の成果である。本研究成果は、米国内視鏡医学雑誌『Gastrointestinal Endoscopy』オンライン版(2018 年 8月 15 日付)に掲載されている。
(Medister 2018年12月26日 中立元樹)

<参考資料>
がん研究会プレスリリース 人工知能による食道がんの診断 -AIによる内視鏡画像診断支援システム

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