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国立がん研究センター、医薬品情報のデータベース構築とAI応答支援システムの研究開発を開始

国立研究開発法人国立がん研究センターは、この度、医薬品情報の問い合わせに関する多施設共有のデータベース構築運用と、AIを活用した質疑応答支援システム研究開発を開始した。この研究は木村情報技術株式会社(以下「木村情報技術」)の技術を応用し、国立がん研究センター東病院を中心とした施設間契約を結んだ中央病院と、国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院の薬剤部による3施設の共有のデータベース構築とシステム開発を行うものである。

病院薬剤部では、施設内の医師、看護師などから医薬品の使用方法や副作用等についての問い合わせを、医薬品情報管理室(DI:Drug Information)が対応に当たっている。この際に、問い合わせごとに書籍や文献等の情報を得て評価し返答を行ったり、ホームページや企業に電話問い合わせをしたりするなどをして対応している。各施設では高頻度の質問についての回答をまとめたQAデータベースを自ら運用していたが、薬剤に関する情報は施設固有の問題でないことが多く、施設間の連携により効率化や質の向上が望める業務の一つと言われている。また近年は、企業のコールセンター業務においてAIの導入事例が多く報告されている。木村情報技術株式会社は製薬企業のコールセンター業務をサポートするAIを開発し製品化している。今回の共同研究は、病院DI室における医療従事者からの問い合わせ対応に、AIシステムを開発・運用することにより、各施設から収集した膨大なQAデータや、年々増加する医薬品情報を扱うにあたり、より効率的な業務体制を構築することを目指しているという。

研究開発計画としては、まず1年目は国立がん研究センターと国立国際医療研究センターは、多施設が連携して医薬品情報に関する問い合わせ(QA)に効率的に対応するためのシステムおよび運用体制を整備し、QAをデータベースへ収集するための最適なシステム(QA登録システム)やDIお問い合わせのAIシステム(仮)を木村情報技術株式会社と共同開発する。2年目は1年目に開発したシステムを用い、より多くの国立病院機構関連施設と契約を結び、各施設の環境下における実証試験を行う。そして回答の検証や評価を行い、AIに教師データを取り込み精度を高め、より最適なAIシステムの検討を行う。3年目には、1年目から2年目に構築したQA登録システムのQAデータベースと、DIお問い合わせAIシステム(仮)を用い、さらに対象施設を広げ商業化を見据えた実証実験を行い、臨床現場で役立つシステムを構築していくという。

今回構築するデータベースは、国立高度専門医療研究センターに属する専門性ある薬剤師が登録する医薬品情報の精査に携わることにより、質の高い医薬品情報のデータベースが共有されることになる見通しである。データベースに登録した膨大な情報を木村情報技術がAIによる検索支援環境を構築することにより、将来は臨床現場で病棟の薬剤師等が使用できる仕様となることを見据えていく。また、施設の規模によって、DI室の業務を担う人員を配置できない施設もあり、国立高度専門医療研究センターのみならず、様々な規模の施設における運用構築を目指していく方針である。<
(Medister 2018年12月3日 中立元樹)

<参考資料>
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