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小児悪性固形腫瘍と小児悪性リンパ腫の医師主導治験を開始

国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院は、Anaplastic Lymphoma Kinase (ALK)異常を有する難治性悪性固形腫瘍と悪性リンパ腫の小児患者を対象に、アレクチニブ塩酸塩(以下アレクチニブ)の医師主導治験(NCCH1708、試験略称:PANDA)を本年6月より実施している。本試験は国立がん研究センター中央病院単施設で実施されているという。

小児がんにおける新薬の臨床開発(治験)は、個々のがんが極めて希少な疾患であり、患者数が少ないなどの理由から、ほとんど進まないことが課題とされている。製薬企業では、患者数の多い成人がんにおける臨床開発から進めることが一般的である。そこで、国立がん研究センターでは、薬剤の適応を小児まで拡大することなどを目的として、小児がんを対象とした医師主導治験を積極的に実施している。

本試験は、ALK融合遺伝子陽性の進行・再発非小細胞肺がんに有効性が示され、承認が得られているALK阻害剤のアレクチニブが小児において安全に投与できるかを評価するための試験である。本試験の対象は、ALK異常を有する難治性悪性固形腫瘍と悪性リンパ腫の小児患者とした。まず、患者の腫瘍の検体で複数の手法を用いてALK異常が検出されるかを調べ、ALK異常陽性と診断された患者が本試験の対象となる。

神経芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、未分化大細胞型リンパ腫、ユーイング肉腫や横紋筋肉腫などの肉腫に様々な様式のALK異常がみられる事より、ALK阻害剤であるアレクチニブが、複数の種類の小児がんに有効である可能性があると考えられている。よって本試験は、臓器にかかわらず遺伝子異常の診断に基づきアレクチニブを投与する、バスケット試験(ある薬剤が標的とする遺伝子変異があれば、どのタイプのがん腫でも登録できる試験のこと)となる。本試験でアレクチニブの小児における安全性が確認できれば、将来的な適応拡大の検討も可能となるであろう。

本試験は中外製薬株式会社から薬剤提供を受け、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的医療シーズ実用化研究事業の支援を受けて、医師主導治験として実施されているものである。
(Medister 2018年11月19日 中立元樹)

<参考資料>
国国立がん研究センター 小児悪性固形腫瘍と小児悪性リンパ腫の医師主導治験を開始

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