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化学放射線療法を受けたステージⅢの肺がん患者は、薬物療法を受けた再発またはステージⅣの肺がん患者と比べて不安・抑うつの度合いが高い

アストラゼネカ株式会社(以下、アストラゼネカ)は、肺がん患者の不安・心情に関して、ステージ別、治療時期による変化、加えて肺がんと同様に死亡率の高い胃がん、大腸がんとの違いについて比較調査した。

今回の調査は、2017年12月15日から2018年1月28日までの期間、インターネット調査形式で行い、対象者は国内死亡率上位3つのがん(肺がん、胃がん、大腸がん)のいずれかの診断を過去5年以内に受けた患者計517名。その内訳は肺がん 214名、胃がん131名、大腸がん172名となっている。

調査結果のポイントとしては、まずCRT(化学放射線療法)を受けた肺がん患者は、薬物療法を受けた肺がん患者と比較して高いHADSスコアとなり、特に不安の度合いが高いことが確認された。次に、CRTを受けた肺がん患者は、治療中の不安に関する多くの質問において薬物療法を受けた肺がん患者より高い割合で不安を示しており、より強い精神的ストレスを受けている傾向があることが明らかになった。また、ステージⅢの肺がん患者に関して見ると、ステージⅢの胃がん・大腸がん患者と比較して、「不安を和らげるために、何らかの治療を受けたい」と感じる患者の割合が高いことも明らかになった。さらに、ステージⅢの肺がん患者は「がんの悪化」に対する不安を強く感じており、その不安度合いは、より病状の進んだステージⅣの肺がん患者とほぼ同等であった。

CRTを受ける肺がん患者は主に切除不能のステージⅢの肺がんと診断された患者であり、根治を目的に治療が行われる。しかしながら、約90%の患者が5年以内に再発していると報告されており、さらにはCRTにより病勢コントロールが得られた後の積極的な治療法については数々の試験で検討されてはいるものの、選択可能な治療がなく、再発に至るまで経過観察するのが現在の標準治療となっている。

一般的に再発またはステージがより進行した患者のほうが不安を強く感じていると考えられる中、根治を目的とした治療が行われるステージⅢの肺がん患者の不安・抑うつの度合いが高い結果となった背景には、積極的な治療選択肢がないというアンメットメディカルニーズの存在が影響しているものと推測された。
(Medister 2018年5月28日 中立元樹)

<参考資料>
アストラゼネカ株式会社プレスリリース 化学放射線療法を受けたステージⅢの肺がん患者さんは、薬物療法を受けた再発またはステージⅣの肺がん患者さんと比べて不安・抑うつの度合いが高い

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