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個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査の先進医療承認について

国立研究開発法人国立がん研究センターは、シスメックス株式会社(以下「シスメックス」)と共同で開発を進めてきた“がん関連遺伝子パネル検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”が、2018年4月1日先進医療として承認されたとともに、本検査を2018年4月9日より開始することに決定したことを発表した。

がん関連遺伝子パネルとは、がんの診療上重要な複数の遺伝子の変異、増幅や融合を同時に解析できる診断薬のことである。NCCオンコパネルは、国立がん研究センターが中心となり開発された遺伝子パネルであり、日本人に特徴的な遺伝子変異を適切に診断できるように設計されている。

がん治療においては、がんの確定診断に加え、薬剤の効果予測や、再発モニタリングなど、遺伝子やタンパク質を用いた多くの検査が行われている。なかでも、がん組織の多数の遺伝子を一度に測定することで、その患者のがん固有の遺伝子変化を分析し、がんの診断や治療、抗がん薬の選定に役立つ有用な情報を抽出する“がんクリニカルシーケンス検査”が注目されている。

これまで国立がん研究センターとシスメックスは、新たながん診断法開発の更なる促進を目的として、2015年10月に国際品質基準に準拠したSysmex Cancer Innovation Laboratoryを中央病院内に開設するとともに、国立がん研究センターが開発した遺伝子診断パネル(NCCオンコパネル)およびこれを測定する次世代シーケンサーを用いて患者の検体(がん組織)の網羅的な遺伝子解析を行い、治療方針の決定や投薬の判断などへ活用する“がん関連遺伝子パネル検査システム”の共同開発を進めてきた。また、臨床現場における早期活用に向け、中央病院での臨床研究TOP-GEAR(トップ-ギア)プロジェクトで検証を行い、“がん関連遺伝子パネル検査システム”に関する体外診断用医薬品・医療機器の先駆け審査指定制度対象品目(指定番号:先駆審査(28診)第1号、指定日:H29.2.28)として指定を受けるとともに、“がん関連遺伝子パネル検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”の先進医療申請を行ってきた。

そして、この度“がん関連遺伝子パネル検査システム”を用いて行う“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”が、2018年4月1日に先進医療として承認された。これを受けて、2018年4月9日より本検査を国立がん研究センター中央病院にて開始する。また、本検査は患者の受診機会拡大を目的に、先進医療協力施設でも実施する予定である

なお、採取された全ての検体は、シスメックスの子会社であり、遺伝子受託解析サービスなどを提供する株式会社理研ジェネシス(以下「理研ジェネシス」)のイノベーションゲノムセンター(川崎事業所)において測定を実施する予定である。

国立がん研究センター、シスメックス、及び理研ジェネシスは、先進医療への取り組みや、先駆け審査指定制度を活用した“がん関連遺伝子パネル検査システム”の体外診断用医薬品・医療機器としての承認取得を通じて、“個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査”の臨床における早期活用を実現し、個別化医療の発展に貢献していく方針である。
(Medister 2018年4月9日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 個別化医療に向けたマルチプレックス遺伝子パネル検査の先進医療承認について

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