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腫瘍溶解ウイルス製剤と抗PD-1抗体薬を用いた医師主導治験開始

国立研究開発法人国立がん研究センター東病院は、進行性または転移性固形がん患者を対象とした、腫瘍溶解ウイルス製剤であるテロメライシン(R)(OBP-301)と、抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブの併用療法に関する医師主導治験(第I相試験)を開始した。本試験では、併用した際の安全性及び有効性などの評価を行うという。

テロメライシン(R)は、風邪ウイルスの一種であるアデノウイルスに、多くのがん細胞で活性化しているテロメラーゼ酵素を遺伝子改変により組込み、がん細胞内のみで特異的に増殖しがん細胞を破壊するようにデザインされた腫瘍融解アデノウイルス製剤である。テロメライシン(R)は正常細胞にも感染するが、テロメラーゼ活性がないためにウイルスは増殖せず、正常組織での副作用は少ないと考えられている。2006年アメリカで実施した進行性固形がん患者を対象として行った単剤投与による臨床試験において、投与部位での腫瘍縮小効果などの有効性が認められた。テロメライシン(R)の腫瘍溶解作用がCTL活性(細胞傷害性T細胞活性)を誘導することによる腫瘍免疫増強効果が期待される。

ペムブロリズマブは、免疫反応を抑制するPD-1経路を阻害する免疫チェックポイント阻害剤の一つである。ベムブロリズマブは、がん細胞から出現したPD-L1が、T細胞のPD-1と結合する前にPD-1と結合することで、がん細胞によって増強された免疫のブレーキを解除して免疫を働かせるようにし、再度T細胞ががん細胞を攻撃できるようにすることができる。今までにメラノーマ、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌など多くの癌腫において、その抗腫瘍効果を確認しており、現在では30以上の癌腫において開発が進められている。

今回、腫瘍溶解ウイルス製剤であるテロメライシン(R)(OBP-301)と抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブを併用することにより、抗腫瘍効果の更なる向上が期待される。
(Medister 2018年4月2日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 腫瘍溶解ウイルス製剤と抗PD-1抗体薬を用いた医師主導治験開始

地域医療機能推進機構ホームページ

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