• コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集

多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果

国立研究開発法人国立がん研究センターは、日本人でのがん・心筋梗塞・脳卒中など成人病の発症と、食習慣・運動・喫煙・飲酒など生活習慣との関係を調査し、生活習慣の改善により、これら疾病の発症を防ぐことを目的とした「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(多目的コホート研究:JPHC Study)」を行っている。

今回の研究では、40から69歳の男女約10万人について、1990年(または1993年)から2012年まで追跡調査し、自覚的ストレスの程度およびその変化とがん罹患との関連を調査した。具体的には、1990年に岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部に在住か、1993年に茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所管内(呼称は2017年現在)在住者でがんではなかった者である。

調査の結果、まず追跡調査中(平均17.8年)に、男女計17,161人のがん罹患が確認された。調査開始時のアンケートの回答から、日常的に自覚するストレスの程度について3つのグループ(低、中、高)に分けて、その後の全がん罹患を比較し、自覚的ストレスレベルが「低」のグループを基準とし、それ以外のグループのがんリスクを比較したところ、調査開始時の自覚的ストレスレベルと全がん罹患との間に統計学的有意な関連は見られなかった。

次に、対象者のうち、調査開始時と5年後調査時のアンケート両方の回答者(79,301人)について、自覚的ストレスに関する回答の組み合わせから、その変化を6つのグループ(常に低、常に低・中、常に中、高が低・中に変化、低・中が高に変化、常に高)に分け、がん罹患リスクとの関連を検討した結果、うち12,486人(男性7,607人、女性4,879)のがん罹患が確認され、常に自覚的ストレスレベルが高いグループは、常に自覚的ストレスレベルが低いグループに比べ、全がん罹患リスクが11%上昇していた。

今回の多目的コホート研究は、あくまで一つの基礎的な医学論文による報告であり、応用のためには、さらに、いくつかの科学的根拠を総合的に評価した上で作成された指針(ガイドライン)を参考に、性別、年齢、ライフステージなどそれぞれの背景に応じて、健康に良い面と悪い面のバランスを考えた上で、生活に取り入れるというステップが必要である。
(Medister 2018年2月5日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果 自覚的ストレスとがん罹患との関連について

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類