• コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集

WHOのがん専門研究機関IARCと覚書を締結

国立研究開発法人国立がん研究センターは、国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC、本部:フランス・リヨン)との協力強化に向け9月19日に覚書を締結した。

IARCは、世界保健機関(WHO)のがん専門研究機関で、がんの原因究明、予防研究の企画・推進を担っている。国立がん研究センターは、これまでも疫学、がん登録、WHO病理分類、発がんリスク評価、たばこ政策の各分野で協働しており、本年5月には、がん登録事業のコラボレーティングセンターとして指定を受け、東南アジアでのがん登録研修や、IARC幹部を招聘しての国内セミナーを共催してきた。

IARCは、具体的には発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的に、各国の研究協力を推進して活動している。人に対する発がん性評価・分類、サーベイランス部門がとりまとめる5大陸のがん罹患、各国のがん死亡率データなどをとりまとめたGlobal Cancer Observatory (GCO)のほか、腫瘍の分類「WHO分類シリーズ」(WHO/IARC Classification of Tumours Series)が広く知られ、さらに60万人のサンプルを擁するバイオバンク、がん研究者の教育研修で大きな役割を果たしている。

今回の覚書においては、より包括的な関係強化を目的とし、従前の協力を強化するとともに、発がん、疫学、遺伝現象、早期診断、検診、予防、サバイバーシップなどの共同研究や人事交流を推進していくという。がん対策やがん研究において国際標準の策定に貢献し、採用することで、国際的な協働・比較可能性を確保することが可能となるであろう。また、IARCと本覚書のもと、新たに環境と腫瘍との関係性を遺伝子解析により研究する共同プロジェクトが今月から始動し、さらに腫瘍の分類規約の編集作業に当センターの医師が加わる準備が進行中である。

今後の展望としては、今回の覚書の締結により、両機関が新しいがん病理規約の制定に貢献するであろう。次に、両機関の有機的協力による研究の推進が期待され、国際共同研究への参画機会の拡大をはかるチャンスとなるであろう。さらに、双方の機関ががん対策における国際標準の策定に関与し、協働・比較可能性を確保していくことにも繋がるであろう。
(Medister 2017年12月25日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター WHOのがん専門研究機関IARCと覚書を締結 がん対策やがん研究での国際標準策定に貢献

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類