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食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連

国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)は、日本人でのがん・心筋梗塞・脳卒中など成人病の発症と、食習慣・運動・喫煙・飲酒など生活習慣との関係を調査し、生活習慣の改善により、これら疾病の発症を防ぐことを目的とした「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(多目的コホート研究:JPHC Study)」を行っている。

国がんでは、これまでに様々な生活習慣と脳卒中・虚血性心疾患、がんなどの病気との関係を明らかにし、日本人の生活習慣病予防と健康寿命の延伸に役立てるための研究を行ってきた。平成7年(1995年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部で(コホートI)、平成10年(1998年)に、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古で(コホートII)、合わせて9保健所(呼称は2017年現在)管内に居住していた45~74歳の患者らのうち、循環器疾患、がんの既往のない追跡可能な約8万5千人を対象として、食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患との関連を調べた結果を専門誌で論文発表した(Clinical Nutrition誌、電子版2017年8月24日公開)。

食事からのマグネシウム摂取量は、追跡開始時のアンケートによる食物摂取頻度調査から推計し、マグネシウム摂取量を、少ない群から5等分に分け(Q1低、Q2、Q3、Q4、Q5高)、摂取量が一番少ない群(Q1)の発症率を基準とし、Q2からQ5群における循環器疾患(脳卒中及び虚血性心疾患)発症率を比較検討した。

約15年の追跡期間中に、4,110人の脳卒中(脳梗塞及び出血性脳卒中)と、1,283人の虚血性心疾患の発症を確認した。虚血性心疾患の発症リスクは、男女とも、食事からのマグネシウム摂取量が増えるほどリスクが低下する傾向がみられた。男性において、虚血性心疾患の発症リスクは、食事からのマグネシウム摂取量が一番少ない群(Q1)と比較して、比較的多い群(Q4)からリスクが低くなり、女性では、中間~多い群(Q3、Q4、Q5)で、リスクが低くなった。さらに、女性では虚血性心疾患と脳卒中を合わせた、全循環器疾患の発症リスクでも、Q3、Q4、Q5群で、それぞれ20%、16%、19%低い結果となった。食事からのマグネシウム摂取量と脳卒中との関係は、脳卒中の病型(脳梗塞、出血性脳卒中)別の解析を含め、認められなかった。

今回の研究は、食事からのマグネシウム摂取と虚血性心疾患の発症リスクを調べたアジア初の研究である。マグネシウムの欠乏は、血圧上昇や動脈硬化など、複数の虚血性心疾患リスクと関連するため、これらのことがマグネシウム摂取による循環器疾患の予防効果として考えらる。今後は、介入研究などによる検証が期待される。
(Medister 2017年9月12日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連 -多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果-

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