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血液から膵臓がんで治療標的となり得る遺伝子異常を検出

国立研究開発法人国立がん研究センター(略称:国がん)は、これまで生検や手術で採取した組織等を用いて行っていた網羅的なゲノム異常の解析を、血液でも高精度に行える新たな手法を開発し、さらに血液からも進行膵臓がんの約30%に治療標的となり得る遺伝子異常を検出した。

膵臓がんとは、通常膵管から発生し、充実性の腫瘤を形成して浸潤、転移を起こしやすい膵管がん(通常型膵がん)のことを指す。消化器のがんのなかでも治りにくいがん(難治がん)の代表であり、膵がんの発生率は胃がんや大腸がんに比べ1/3~5程度にもかかわらず、国内におけるがんによる死亡原因の第5位を示しているという。

国がんにおける本研究では、新たに開発した前処理法を次世代シークエンサーによる解析前に用いることにより、少量(10ng)のcfDNAからも、高精度な次世代シークエンサーを用いて網羅的なゲノム解析を行うことが可能であることを報告した。本研究では、組織生検等により膵臓がんと診断された患者の血液を用い、膵臓がんに高頻度に異常がみられる遺伝子と、治療標的となり得る遺伝子を含めた膵臓がんのゲノム異常を、低侵襲な検査法である血液(約5mL)から検出する方法について検討を行った。

その結果、既存のキットを組み合わせた新たな前処理法を開発し、シークエンスデータの情報解析についても工夫を行なうことで、これまでの1/20である10ng程度のcfDNAからも次世代シークエンサーによるターゲットシークエンス解析を行なうことのできる独自の手法を開発することに成功した。実際にこの手法を用いることによって、全ての症例で1つ以上のがんの体細胞変異が検出され、さらに治療標的となり得るPIK3CA、EGFR、ATM遺伝子などの変異も14例(約30%)の症例で認められたという。

本研究で開発された手法の検出感度を向上させることで、治療標的の探索だけでなく、難治がんの早期診断への応用も期待されるであろう。
(Medister 2016年4月25日 中立元樹)

<参考資料>
国立がん研究センター 血液を用いたがんゲノム解析(Liquid biopsy)の新手法を開発 血液から膵臓がんで治療標的となり得る遺伝子異常を検出
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 膵臓がん(消化器科外科)

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