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癌標的治療薬開発へ

4月29日の米国科学アカデミー紀要にとある論文が発表され注目を浴びている。癌発症に関わるras遺伝子が作り出すタンパク質の働きを止める治療薬候補を発見したというものだ。この論文は神戸大学大学院医学研究科の片山徹教授らのグループによって研究された。

癌遺伝子が作り出すタンパク質(Ras)を阻害し癌増殖を抑制するということは近年様々な研究者たちによって研究されてきたが臨床の現場で使われているのは慢性骨髄性白血病にのみ有効なものであり、大腸癌や膵臓癌などの広範囲にわたる癌には有効な治療薬は開発されていなかった。今回の研究結果は広範囲にわたる癌が増殖するのを抑制し癌完治への第一歩を踏み出したのではないかと思う。

Rasは20数年前より研究者によって研究されてきており、Rasを阻害することにより癌増殖抑制に関与することや阻害薬も発見されていた。しかし、患者の延命効果が得られないという観点から開発までは至らなかった黒い歴史がある。それにRasの分子表面上には薬剤が結合するようなポケットが見つからなかったため、Ras研究者たちは阻害薬を開発するのは不可能だと感じていたのだ。

神戸大学大学院の研究チームはRas分子表面上に新規ポケットを発見することに成功した。新規ポケットをコンピューターシュミレーションを駆使し研究すると、新規ポケットに特異的に結合する化合物を発見した。その化合物はKobeファミリー化合物と命名し、現在は癌治療薬開発候補として日米で特許申請中だそうだ。

今後の展望としてはKobeファミリー化合物を化学合成メーカーと共同研究し化合物の構造改良を行うという。また、医薬品なので時間はかかるが治療薬として癌患者に救いの手を差しのべることが出来るであろうとも思う。
(2013年5月7日  Medister. 桐生賢汰)

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