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【シンガポール】医療機関とオーストラリア企業の新たな放射線療法の共同研究

癌摘出の手術は、進行具合にもよるが、完全に摘出されないケースが多々ある。事前の検査では発見できず、手術中も肉眼で確認することができないような癌細胞はそのまま放置しておくと転移し、症状を長引かせ、結果的に患者を死に至らしめる危険性がある。今回取り組んでいる研究は術後の再発予防を可能にするための画期的なプロジェクトなのだ。

今回のプロジェクトは主に卵巣癌の治療を当面の目標としている。卵巣癌は早期発見が非常に難しく、癌が見つかった頃には手遅れ、といったケースも少なくない。卵巣癌はシンガポールでは5番目に発症しやすい癌として知られているが(2006年から2010年までに500以上の女性の命を奪っている)、将来的には胃癌、直腸癌なども治療できるように研究を進めるとのことだ。

オーストラリア国立大学で開発した医療技術をベースとしたCarbon Cage Nanoparticlesは体内に潜んでいる癌細胞のみに放射線を当て駆逐する、従来の手法に比べ精度を格段と高めた放射線療法である。また通常術後に投与する抗がん剤も組み合わせることにより、化学療法も同時に行えるようになる。抗がん剤は一般的には手術後に服用・注射するものだが、この方法では体内全体に行き渡ってしまうため、特定の癌細胞を完璧に死滅させるような大きな効果は期待できない。また正常組織にまで影響を及ぼすため、副作用を起こしやすく、患者への負担も大きい。

順調に研究が進めば5年後には一般患者に利用できると見られており、癌治療以外にも免疫異常性にも対応した治療が可能になると期待されている。
(Medister Taro 2012年12月26日)

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