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孤独を克服するがん治療~患者と家族のための心の処方箋~

『孤独を克服するがん治療~患者と家族のための心の処方箋~』書評

著者:押川 勝太郎
出版社:サンライズパブリッシング
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がんの治療では、肉体的・経済的な不安が重くのしかかりますが、それらと同じくらい精神的な不安に襲われます。本書は、がんの医学的な背景ではなく、患者や家族につきまとう心の問題に焦点を当て、がんの治療に前向きになるためのヒントが多く書かれています。

自分や周囲の不安に関係する質問に答える

著者は押川勝太郎医師。国立がん研究センター東病院、宮崎大学第一内科などを経て、現在は宮崎善仁会病院に勤務しています。専門は消化器内科・腫瘍内科で、20年以上がんの治療に携わっています。NPO法人宮崎がん患者共同勉強会を立ち上げ、また、ご自身のブログ「がん治療の虚実」で精力的に情報発信をしています。

勉強会やブログなどで、同じような質問が繰り返し寄せられる現状を通じて、がん治療の本質的な疑問に答えられる本が必要だと思うようになったのが、本書を執筆したきっかけだといいます。

本書は、主にブログで取り上げた相談内容がベースとなっています。例えば「死ぬかもしれないと考えると、恐ろしくてたまらなくなります」「見舞いに来る友人たちの健康さが疎ましいです」「付き添ってくれる家族の疲労が心配です」「万一に備えて遺産相続の話をしておくべきですか」「主治医に自分の苦痛をわかってもらえません」など、治療内容よりは自分や周囲の不安に関係するものがほとんどです。質問は全部で39項目。1つあたり4~6ページくらいで回答しているので、自分が気になるところだけ読んでみる、ということもできます。

がん患者にとって大切なのは「加点法」

本書の全体的な考え方として、「がん治療の目的は、本人の苦痛を和らげること」が挙げられます。特に抗がん剤治療では、「副作用が辛い」「痛みに耐えなければいけない」と考えがちですが、それでは本末転倒であるという考えのもと、主治医に正直に訴えることの大切さを説いています。

また、がんに対して「死に至る病」というレッテルが貼られていることにも懸念を示しています。がんの種類やステージは人によって様々で、必ずしも不治の病ではありません。「死に至る病」という思い込みは、がんと戦う気力を失わせ、余計に治療効果が弱まってしまうため、まずは前向きになることが大事であると繰り返し何回も書かれています。

この「前向きになる」というのが、本書全体のメッセージであり、押川医師の根底にある思いのようです。「若くしてがんになった人を励ましたいです」の項目の中で、押川医師があるがん患者さんを受け持った経験から、がん患者さんにとって大切なのは「加点法」であることに気づいたと書いています。

つまり、「どうしてがんになったのか」と過去を振り返るのではなく、「今すべきことは何か」を考えることで、生きる希望が見つかり、それが結果としてがんと戦う原動力になるということです。この考えは、多くの患者さんやその家族にとって励みとなるのではないでしょうか。

なお、項目ごとに、おすすめの図書の紹介もあります。がんの治療と直接関係ないものもありますが、メンタルケアの面から参考になるものばかりです。その本をさらに読むことで、がんとどう向き合っていくべきか、一人一人が考えるきっかけを与えてくれる良書です。

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