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国立がん研究センターの乳がんの本

『国立がん研究センターの乳がんの本』書評

監修:木下 貴之、田村 研治
出版社:小学館クリエイティブ
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国立がん研究センターによる、がんの種類別に解説する本が2018年6月に5冊同時に発売されました。「胃がん」、「大腸がん」、「乳がん」、「肺がん」、「肝・胆・膵がん」の5冊がありますが、今回は乳がんがテーマの本を紹介します。

マンモグラフィと乳房再建

乳がんは、女性がかかるがんの中で最も患者数が多く、2013年の1年間で新たに乳がんと診断されたのは約8万人。1970年代には1万人台だったので、右肩上がりで増加していることになります。ただ、死亡数でいうと、2016年では大腸、肺、膵臓、胃に次いだ第5位であるため、がんの中では比較的予後(治療後の生存率)がよいといえます。

ところが、その死亡率はわずかずつでありながらも上昇しています。一方アメリカやイギリスでは、死亡率が下がっています。この差は、マンモグラフィをはじめとする乳がん検診の受診率に由来すると考えられています。実際、患者数の多い40~69歳の過去2年間の乳がん検診受診率は、日本では50%を切っています。

本書では、第1章を「乳がんが疑われたら」として、検診からセルフチェック、そして正式に診断されるまでの流れが書かれています。特にマンモグラフィについては、早期発見によって乳がんによる死亡率を下げることができるデータがあるため、定期的に受診してほしいとのこと。代表的な検査方法であるマンモグラフィは、2枚の板で乳房を挟んで圧迫し、薄く伸ばして撮影します。こうする理由は、画像で見やすくするため、そしてX線による放射線量を少なくするためです。しかし、中には痛みを感じる人がおり、恐怖心からマンモグラフィを避けたがる人も少なからずいます。痛いときには、素直に撮影技師に伝えれば緩めてもらうこともできるそうです。また、男性の検査技師に体を見られるのに抵抗がある場合には、女性検査技師にお願いできないか相談することも可能です。

続く第2章では「乳がんの治療」として、手術をはじめとして薬物療法(抗がん剤療法、ホルモン療法、分子標的治療)、放射線療法が紹介されています。ほかのがんと異なるのは、手術による乳房の摘出や再建でしょう。再建材料にはインプラント(人工乳房)と、自分のお腹や背中にある脂肪とあります。インプラントが2013年から保険適用されたことから、今では再建の約9割がインプラントになっています。切除する方法や再建については、イラストを交えながらわかりやすく書かれています。

手術後のむくみ予防と再発

第3章の「乳がん手術後の生活」では、手術後や退院後で注意すべきことが書かれています。特に、手術でリンパ節郭清(リンパ節への転移の可能性があるときに一部のリンパ節を切除する手術)や放射線療法を受けたときには、リンパの流れが悪くなるために、腕にむくみやしびれが起きる「リンパ浮腫」が生じやすくなります。リンパ浮腫予防のためにリハビリテーションの方法やトレーニンググッズ、専用の弾性着衣などが紹介されています。医師や看護師と相談しながら、購入の参考にできるでしょう。

第4章の「乳がんの再発・転移」では、治療後も定期的なチェックが必要を呼びかけます。乳がんは治療から10~20年経ってから再発することも珍しくないため、担当医とのコミュニケーションを大切にして、何かあったときにすぐに相談できるようにしてほしいとのことです。

最後の第5章は、ほかのがんにも当てはまる「心のケアと療養のこと」が紹介されています。

乳がんと診断されてから退院後のリハビリまで、トータルにサポートしてくれる一冊となっています。

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