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『はたらく細胞・2巻』がん細胞

『『はたらく細胞・2巻』がん細胞』書評

著者:清水 茜
出版社:講談社
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『はたらく細胞』は、人間の体を構成する細胞を擬人化したマンガです。『月刊少年シリウス』にて2015年3月号から連載中で、執筆時点で5巻まで発売されています。2018年夏にはアニメ化もされました。赤血球や白血球などの血液内の細胞を中心に、人間の体の中で起きていることをコミカルに、ただしできるだけ正しく表現したものです。その中で2巻の第8話と第9話のテーマが「がん細胞」です(アニメでは第6話後半から第7話に該当)。

免疫細胞とがん細胞の戦い

第8話は、普通の細胞が、ウイルスに感染したかのような不気味な細胞に追われているシーンから始まります。不気味な細胞は白血球(正確には白血球の中でも好中球)によって倒されますが、他にも不気味な細胞をみかけたということで、他の免疫細胞であるキラーT細胞(細胞傷害性T細胞)とNK細胞(ナチュラルキラー細胞)とともに、荒廃した建物へと向かいます。

建物内で、白血球とキラーT細胞はある光景を目にします。細胞が無制限に増えており、周囲の組織との境界を意味する部屋の壁も壊されていました。また、引っ越すための荷物も整理されていました。これらは、増殖、浸潤、転移という、がん細胞の特徴を示すものでした。

一方そのころ、NK細胞はがん細胞と壮絶な戦いを繰り広げていました。その最中、がん細胞は自分が生まれたときのことを思い出します。がん細胞は、正常な細胞が細胞分裂するときのDNAのコピーミスによって生まれます。同じ人間の細胞なのに、ミスのせいで免疫細胞から追われる身になったがん細胞は、やがてすべての細胞を憎むようになり、世界(つまり人間の体そのもの)を滅ぼすことを考える……という設定です。

がん細胞を知るためのよい教材

マンガなので一部で誇張表現はありますが、大まかな流れは事実に基づいており、がん細胞がどういうものか、普段私たちの体の中で何が起きているのかを簡単に知ることができる、よい教材となっています。

例えば、健康な人でも、一日に数千個のがん細胞が生まれていると考えられています。つまり、マンガで描かれていることは、私たちの体の中の日常ともいえます。

また、マンガでは率先してNK細胞ががん細胞と戦うシーンがありますが、実際に、NK細胞は通常の細胞とがん細胞のわずかな違いを認識して攻撃できる細胞であると考えられています。他のエピソードでは好中球が主人公級の立場となっていますが、がん細胞との戦い(初期)ではNK細胞が主役になるのは、理にかなっているのです。

がん細胞との戦闘の間、赤血球は舞台となっている建物に大量の栄養が運ばれているのを目撃します。これは「血管新生」とよばれる現象で、増え続けるがん細胞が血液を通じて大量の栄養を要求するために、がんに多くの血管が集まるものです。

ただ、すでに浸潤していたり、転移直前の状態であることを想像すると、自然治癒は難しい状態で、現実には手術などを施す必要があるステージのように見えます。この辺りはマンガならではの演出と割り切るのがよさそうです。

なお、5巻の第24話、第25話では、再びがん細胞が登場します。この回では、がん細胞は通常の細胞と同じであるとして、免疫細胞の攻撃からがん細胞を守る制御性T細胞が登場します。こちらも合わせて読むと、がん細胞の性質をより理解できると思います。

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