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がんになった親が子どもにしてあげられること

『がんになった親が子どもにしてあげられること』書評

著者:大沢 かおり
出版社: ポプラ社
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本書は、自分またはパートナーががんになり、子どもにそのことをどう伝えればよいのか悩んでいる人に向けて書かれたものです。東京共済病院がん支援相談センターの専任ソーシャルワーカーである大沢かおりさんが、そもそもがんであることを子どもに伝えるべきなのか、どのように伝えたらよいのか、優しい語り口で解説しています。

子どもには事実を正直に伝えたほうがいい

最初の疑問である「そもそも子どもに伝えるべきなのか」という点については、「心と体に余裕がある限りは、なるべくお子さんに、がんである事実を正直に伝えたほうがいい」ということです。まずは、がんを告知されたときのショックから落ち着きを取り戻し、治療や仕事の先行きが見えるようになってから、子どもとの接し方を考えてほしいということです。

では、どうして子どもにがんであることを伝えたほうがいいのでしょうか。子どもは家族の変化に意外と敏感なのです。親だけで深刻な顔をしながら話をしている、調子がよくなさそう、その原因は自分にあるかもしれないと悪い方向に想像を膨らませてしまう場合があるのです。いずれ、入院をすることになったときなどに言い訳をするのが難しくなってしまいます。子どもに伝えようと伝えまいと、がんであるという事実に変わりはないのです。

実は、がんであることを知らされた子どもたちの多くは「教えてくれてよかった」と答えているようです。伝えることで子供をケアの輪の中に迎え入れることになり、子どもは精神的に成長するチャンスになるからです。家事を手伝うというチームワーク、親の体調が悪いときには思いやりの心をもつようになるなど、メリットは少なくありません。また、家族がオープンにコミュニケーションをとることで、がんによりよく対応できるようにもなります。

子どもの年齢に合わせた伝え方を

もう一つの疑問である「どのように伝えたらよいのか」という点について、押さえたいポイントを3つ紹介しています。それは、「がんという病気であること」「うつる病気ではないこと」「子どもがしたことや、しなかったことによって引き起こされたものではないこと」です。がんという病名をしっかり伝えること、風邪とは違って子どもにうつるものでないこと、がんになったことは子どもの責任ではないことを、親の口から正しく伝えてほしいということです。

とはいえ、子どもの年齢によって理解度はまったく違います。本書では、子どもの年齢別に伝え方の工夫が書かれています。3歳までは、伝え方よりも接し方に意識を向け、子どもの生活リズムをなるべく保つのがよいとしています。4~5歳の子どもには、絵本やぬいぐるみなどを使って視覚的に伝えるのが効果的だそうです(巻末に推薦する絵本があります)。小学生にはわかりやすい言葉に噛み砕いて説明し、中高生には子ども扱いせずに大人の言葉で丁寧に説明するというアドバイスが紹介されています。他にも、伝えた後で現れやすい子どものストレスの特徴やその対処法、学校の先生とやりとりする方法なども書かれています。

なお、本書の著者は、がんになった親と子ども、家族を支援するNPO法人「Hope Tree」の代表理事を務めています。Hope Treeのウェブサイトには、本書にも書かれている子どもと接し方だけでなく、イベント開催のお知らせなどが紹介されています。こちらのウェブサイトも合わせて読むことで、少しでも不安や悩みが解消されることを願います。

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