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イラストでわかる乳がん―再発防止の治療・生活・リンパ浮腫のケア

『イラストでわかる乳がん―再発防止の治療・生活・リンパ浮腫のケア』書評

著者:藤原 恵一(埼玉医科大学国際医療センター・包括的がんセンター教授・診療科長)
   廣田 彰男(医療法人社団 広田内科クリニック理事長)
出版社: 法研
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乳がんは、がんの中でも比較的生存率は高く、治療そのものは難しい時代ではなくなりました。しかし、手術後や退院後に何にどう気を付ければいいのか、不安に思う患者さんは多いでしょう。そこで、乳がんの治療法だけでなく、副作用への対処のしかた、術後の生活で気を付けること、気分を軽くする方法を紹介するのが本書です。

いま一つ晴れ晴れとした気分になれない患者さん向けに


本書は、「はじめに」で書いてあるように、「乳がんと告知され、やっとの思いで治療・療養を完了したものの、いま一つ晴れ晴れとした気分になれない患者さん」に向けて書かれたものです。つまり、手術で退院した後にある抗がん剤の通院治療、精神的な辛さ、リンパ浮腫などに悩んでいる患者さんに読んでいただきたいものです。

例えば、多くの患者さんで現れる抗がん剤の副作用については、「吐き気・嘔吐」「脱毛」「骨髄抑制(血液中の赤血球、白血球、血小板が減少すること)」「口内炎」「皮膚の異常」「下痢・便秘」「その他の副作用(アレルギー、倦怠感、食欲不振、手足のしびれなど)」を分けてあり、自分の症状に合ったものからすぐに読めるようになっています。抗がん剤の治療前であっても、「こういう副作用があるかもしれない」と知っておくことで心構えができる、または担当医に相談しやすくなるでしょう。

また、乳がんの手術の場合、転移の可能性を知るためにリンパ節を切除することが多くあります。すると、リンパ液の流れが悪くなり、腕がむくむことがあります。これがリンパ浮腫であり、術後に起こりやすいといわれています。一度発症すると完治することが難しいため、予防に努めることが大切です。

書名に「イラストでわかる」とあるように、リンパ浮腫予防のためのリハビリ運動、セルフリンパドレナージ(マッサージ)については、イラストを交えながらわかりやすく書かれています。なお、本書は、基本的には左ページに文章、右側に表とイラストという構成になっており、とても読みやすくなっています。

家族は第2の患者


がんの治療や療養では、肉体的な痛みだけでなく、精神的なストレスもあります。本書では第4章に「心を軽くするための本人の心得と家族のケア」という項目で、さまざまな不安の種類とその解消法が紹介されています。

強い心理的ストレスによって日常生活に支障がある状態は「適応障害」と呼ばれ、さらに精神症状が重く、身体症状も伴う状態が「うつ病」です。適応障害またはうつ病になる患者さんは2~4割もいるとのことであり、決して珍しいものではありません。気分が落ち込んだ状態が2週間以上続く場合には担当医に相談するのがよいとのことです。また、過度に落ち込まないための方法(家族や医療関係者などの味方をたくさん作る、趣味を続けるなど)も紹介されています。

心理的ストレスは患者さん本人だけでなく、家族にも少なからずかかります。そのため、本書では「家族は第2の患者」と表現して、家族が心がけておくことにも触れています。がん患者の痛みや精神状態は日々変わるので、「昨日と今日で言っていることが違う」と否定するのではなく、ある程度柔軟に対応できるよう、「あいまいさを残す」ことが大切だということです。この点はぜひ本書をご覧になっていただければと思います。

今回の書評は手術後、退院後のケアを中心に書きましたが、乳がんそのものの性質や治療法についても、イラストを交えながら紹介されています。手術後、退院後に不安を感じている患者さん、あるいは現在治療の副作用などで悩んでいる患者さんに読んでいただきたい一冊です。

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