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手術以後のすごし方 子宮がん・卵巣がん そのあとに…

『手術以後のすごし方 子宮がん・卵巣がん そのあとに…』書評

監修:加藤 友康
出版社:保健同人社
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子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんは40~50代に最も多く見つかります。これは同時に、がんの手術を受けて退院してからも長い人生が待っていることを意味します。40~50代といえば、まだ働いている人がほとんどであり、仕事や家庭生活との両立も悩みの種となります。性生活も大きな不安の一つです。これら術後で気を付けることをまとめたものが本書です。

患者さんの退院後の不安を受けて作られた


本書の「はじめに」では、次のようなことが書かれています。

「患者さんやご家族に退院の話をすると、安堵されるのと同時に、『こんなに早く退院して大丈夫かしら』と、退院後の生活への不安が急に生じてくるようです。実際に、術後数年を経過した患者さんからは、『入院中は何があっても、看護師さんがすぐ来てくれるので安心しました。むしろ退院してからのほうが、不安でいっぱいでした』という声を聞きました」

このような患者さんの声を受けて、本書では食事や日常生活、体の変化とその対応、リンパ節切除後のセルフケアについて重点的に取り上げています。執筆は、国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科の看護師や栄養管理士、臨床心理士が担当し、監修は科長の加藤友康先生です。

食事については、腸閉塞(イレウス)に注意し、食物繊維は控えめにというアドバイスが紹介されています。便秘やお腹の張りを感じるときは、食物繊維の中でも水溶性食物繊維を摂るのがよいそうです。食事のアドバイスや具体的なレシピについては、同じ加藤友康先生が医療解説する『子宮・卵巣がん手術後の100日レシピ』(女子栄養大学出版部)が参考になるでしょう。

性生活の不安へのアドバイス


日常生活に触れた章では、シャワーや入浴、仕事への復帰で気を付けることなどが紹介されています。中でも、性生活については多くの内容が書かれており、ちょっとした疑問にも丁寧に答えています。

例えば、「本当に性交渉はできるのか」「縫い合わせた傷が破れることはないのか」「性交渉時に痛みはないのか」「性交渉によってがんが再発したりパートナーに転移したりしないのか」などが取り上げられています。性生活は、術後から早くて2カ月、遅くても6カ月がたつころには支障がなくなります。最初のころは痛みや出血がある人もいますが、次第に軽くなるとのことです。まずは性交渉にこだわらず、抱きしめ合ったり手をつなぎながら寝たりするなど、パートナーの理解を得ながら不安な気持ちを解消することが大切だと述べています。

確かに子宮や卵巣は、女性のアイデンティティに関わるものであり、女性としての体の大事な部分を失ったという気持ちになるかもしれません。このような喪失感を埋める考え方として、本書では「キャンサーズ・ギフト(がんからの贈り物)」を紹介しています。がんによって体の一部を失ったのは事実だが、代わりに今まで当たり前すぎて気付かなかった家族や周囲の人の優しさ、うれしい出来事に気付くことが出来るようになった、という考え方です。

ただし、術後2週間以上たっても日常生活に支障をきたすほど落ち込みが続く場合には、心療内科や精神腫瘍科を受診して専門的なカウンセリングを受けることをお勧めしています。

リンパ浮腫のセルフケアもフォロー


また、リンパ節切除後のセルフケアについても多くのページを割いて紹介しています。そもそもリンパ節とは何か、なぜリンパ浮腫が起きるのか、リンパ浮腫を日頃から予防する方法が書かれています。一定の条件が整えば保険が適応されるので、知識として知っておいて損はありません。

手術による肉体的な影響だけでなく、精神的な影響にも触れてサポートする本書は、手術前の入院中から退院後の長い生活の支えになる一冊です。

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