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更新日:2026/10/02

脳幹・視床などにできる「びまん性正中膠腫」に飲み薬モデーソ(ドルダビプロン)が国内承認――H3 K27M変異型にはこれまで承認薬なし、再発例の海外解析で奏効20%

脳幹や視床など脳の中心部にできる悪性の脳腫瘍「びまん性正中膠腫」に対し、大原薬品工業の飲み薬「モデーソカプセル125mg」(一般名:ドルダビプロン塩酸塩)が2026年9月16日に国内で承認された※1。新しい有効成分の医薬品で、希少疾病用医薬品に指定されている※1。国内ではこれまで、H3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫に承認された治療薬がなかった※2。当編集部が9月6日に伝えた承認申請の続報である。

発表のポイント

• 2026年9月16日、モデーソ(ドルダビプロン塩酸塩)が「びまん性正中膠腫」を効能・効果として国内承認された(希少疾病用医薬品)※1
• 2026年1月に承認申請され、2月に希少疾病用医薬品の指定と優先審査の対象になっていた※2
• 再発した患者さん50人を対象にした海外の統合解析では、腫瘍が一定以上縮小した人の割合は20.0%だった※3

概要

びまん性正中膠腫は、視床・視床下部、脳幹(中脳・橋・延髄)、脊髄など、体の正中線に近い部位に広がるように発生する神経膠腫(グリオーマ)の総称である※2。大多数の腫瘍にH3 K27M変異(ヒストンという、DNAを巻き取るたんぱく質の遺伝子に起こる変異)がみられ、2016年のWHO分類で最も悪性度の高いグレードIVに位置づけられた※2。治療の基本は、できる範囲で腫瘍を摘出してから放射線療法を行うことだが、部位によっては手術で症状が悪化するおそれがあり、放射線の効果も一時的で再び大きくなる、と大原薬品は説明している※2。

ドルダビプロンは、細胞内のミトコンドリアにある酵素ClpPを活性化する作用と、ドパミンD2受容体を遮断する作用をあわせもち、腫瘍細胞を細胞死に導くと考えられている※2。米国では2025年8月、前治療後に進行したH3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫(成人と1歳以上の小児)を対象に迅速承認されている※2。

有効性のデータとしては、海外の4つの臨床試験と1つの拡大アクセス(治験の枠外で薬を提供する仕組み)でこの薬を単独で飲んだ再発患者さん50人(小児4人・成人46人)をまとめて解析した論文がある※3。画像を独立した判定者が評価した結果、主な基準での奏効割合は20.0%、奏効が続いた期間の中央値は11.2か月だった※3。治療に関連する重い副作用(グレード3)は20.0%に起こり、最も多かったのは疲労(10%)だった※3。ただし、この解析は比較対象のない単群の集計で、生存期間を延ばすかどうかは示していない。また、橋(脳幹の一部)や脊髄にできた腫瘍の患者さんは解析の対象から除かれていた※3。

この記事の読者にとっての意味

対象は、びまん性正中膠腫と診断された患者さんとその家族である。申請時に予定されていた効能・効果は「H3 K27M変異を有するびまん性正中膠腫」だった※2。承認後の正確な対象条件(変異の確認方法、前治療の要否、年齢など)は添付文書で定められるため、主治医に確認してほしい。発売時期や薬価は、今回確認した資料には示されていない。

上に挙げた奏効割合は、再発した一部の患者さんを集めた海外の解析の数字であり、すべての人に効果が出ることを示すものではない。主治医に聞くとしたら、「自分の腫瘍でH3 K27M変異が調べられているか」「今の病状でこの薬が対象になるか」「放射線療法などの治療とどう組み合わせるのか」といった点が手がかりになる。申請段階の経緯は9月6日の記事に、脳腫瘍全般の基本は脳腫瘍の解説にまとめている。

(Medister編集部 2026年10月2日)

本記事は2026年10月2日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

  1. 医薬品医療機器総合機構「承認品目一覧(新医薬品)」(PDF)2026年9月16日承認 No.18(最終確認日: 2026年10月2日)
  2. 大原薬品工業「ドルダビプロン塩酸塩(国内開発番号:OP-10)希少疾病用医薬品指定及び優先審査該当のお知らせ」2026年2月16日(最終確認日: 2026年10月2日)
  3. Arrillaga-Romany I, et al. J Clin Oncol. 2024;42(13):1542-1552. DOI: 10.1200/JCO.23.01134, PMID: 38335473(最終確認日: 2026年10月2日)

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