更新日:2026/10/01
胃がん検診の内視鏡とX線、胃にとどまる段階のがんを見つけた割合は83%対65%――神奈川県立がんセンターなど、住民検診のデータを解析
神奈川県立がんセンターなどの研究グループは、住民を対象とした胃がん検診のデータを地域のがん登録と照らし合わせ、胃内視鏡検査と胃部X線検査(バリウム検査)ががんをどの程度見つけられるかを調べた※1。胃の中にとどまる段階(限局)の胃がんでは、がんがあった人を検診で陽性と判定できた割合(感度)が内視鏡83.4%、X線65.3%だった※1。論文は2026年9月9日、学術誌「Gastric Cancer」のオンライン版に掲載された※1。
発表のポイント
• 日本では50歳以上の住民検診で、胃部X線検査と胃内視鏡検査が推奨されている。今回、実際の住民検診のデータで両者の精度を比べた※1※2
• 限局の胃がんでは、感度が内視鏡83.4%・X線65.3%、特異度が99.0%・88.7%だった※1
• 男女別に見ても、年齢と性別の違いをそろえた解析でも、内視鏡の感度のほうが高かった※1
概要
研究グループは、住民検診のデータベース(内視鏡61,658、X線73,653)と地域のがん登録のデータを突き合わせ、がんの広がりの段階ごとに検査の精度を計算した※1。
ここでいう感度は、がんがあった人のうち検診で陽性と判定された人の割合を指す。特異度は、がんがなかった人のうち陰性と判定された人の割合で、低いほど、がんがないのに精密検査に回る人が増える。陽性的中率は、陽性と判定された人のうち実際にがんだった人の割合である。
限局の胃がんでは、陽性的中率は内視鏡27.4%・X線2.2%だった※1。男性では感度83.3%・65.6%、女性では83.6%・64.5%で、年齢と性別の違いをそろえた感度も83.6%・65.3%と、内視鏡が高かった(p<0.001)※1。限局に加え、周囲に広がった段階、離れた臓器に転移した段階でも、内視鏡のほうが感度・特異度・陽性的中率が高かった※1。
ただし著者らは、この研究を記述研究と位置づけている※1。検査の精度を比べたもので、検診を受けた人の胃がんによる死亡がどれだけ減るかを調べた研究ではない。
この記事の読者にとっての意味
関係する人:胃がん検診を受ける50歳以上の人とその家族。
今すぐ使えるか:X線も内視鏡も、現在の住民検診で選べる検査である。国立がん研究センターは、50歳から2年に1度、どちらかを選んで受けるよう案内している※2。毎年交互に受けることは、偽陽性が増えるなど不利益が大きくなるため推奨されていない※2。内視鏡では、疑わしい部分があればその場で組織を採る(生検)ことがあり、生検は保険診療のため自己負担が生じる※2。血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は受けられない場合がある※2。X線ではバリウムによる便秘や、まれに腸閉塞が起こることがある※2。
かかりつけ医に確認するとすれば:「持病や飲んでいる薬を踏まえると、どちらの検査が受けやすいか」「前回の検診結果をどう受け止めればよいか」といった点が論点になりうる。胃の痛みや食事がつかえるなどの症状がある場合は、検診を待たずに医療機関を受診するよう案内されている※2。
検診全般の考え方はこちら:がん検診について
胃がんの基本はこちら:胃がん
(Medister編集部 2026年10月1日)
本記事は2026年10月1日時点の公的機関の情報および原著論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の方の診断・検査の方針を示すものではありません。検査や治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
記載の数値は研究の対象となった集団の値であり、個々の方にそのまま当てはまるものではありません。


















