更新日:2026/09/30
免疫チェックポイント阻害薬で初の皮下注射剤「キイジェクト」が国内承認――キイトルーダと同じ効能、投与は約1〜2分
MSDは2026年9月16日、免疫チェックポイント阻害薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の皮下注射製剤「キイジェクト配合皮下注」が国内で製造販売承認を受けたと発表した※1※2。免疫チェックポイント阻害薬の皮下注射剤は初めてで、効能・効果は点滴のキイトルーダと同じである。点滴では30分かかっていた投与が、皮下注射では約1〜2分になる※2。当編集部は8月の薬事審議会での審議段階を9月8日の記事で伝えており、今回はその続報となる。
発表のポイント
• 2026年9月16日に承認。効能・効果には悪性黒色腫、非小細胞肺癌、食道癌、胃癌、子宮頸癌、卵巣癌など、20を超えるがんの種類や使い方が並ぶ※1※2
• 根拠は国際共同第3相試験(377人、うち日本人23人)。未治療の転移性非小細胞肺がんで抗がん剤と併用し、血中の薬の量が点滴に劣らないことを示した。奏効率は皮下注45.4%、点滴42.1%だった※2※3
• 別の第2相試験では、両方を試した人の65%が皮下注を選んだ。最も多い理由は「病院にいる時間が短い」だった※4
概要
ペムブロリズマブは、がん細胞が免疫細胞にかけるブレーキ(PD-1)を外し、免疫ががんを攻撃しやすくする薬である※2。キイジェクトは、これに皮下組織のヒアルロン酸を分解する酵素(ベラヒアルロニダーゼ アルファ)を配合し、皮下に注射した薬が広がって吸収されやすくしたものである※2。
根拠となった3475A-D77試験では、参加者を皮下注と点滴に2対1で分けた。主な評価項目は血中の薬の量で、事前に定めた基準で点滴に劣らないことが確認された※3。注射時間の中央値は2.0分だった※3。日本では奏効率(がんが一定以上縮小した人の割合)も主要な評価項目とされ、点滴に劣らないことが示された※2。安全性を評価した皮下注群251人のうち90.0%に副作用があり、主なものは貧血52.2%、好中球減少症41.8%で、いずれも抗がん剤との併用での結果である※2。安全性は点滴と同様だったと報告されている※3。
患者の好みを調べた3475A-F11試験(147人)では、皮下注と点滴を3回ずつ受けたあと、続ける方法として68%が皮下注、32%が点滴を選んだ※4。皮下注の期間の注射部位の副作用は13〜16%で、ほとんどが軽いものだった※4。
この記事の読者にとっての意味
関係する人:キイトルーダによる治療を受けている、またはこれから受ける可能性のある患者さんとその家族。
今すぐ使えるか:国内で承認された薬である※1。ただし、2026年9月作成の企業の資料では薬価基準は未収載で※5、発売時期は承認発表では示されていない※2。有効成分は点滴と同じペムブロリズマブで、キイジェクトの資料でも、免疫が過剰に働くことで起こる副作用への注意が求められている※5。
主治医に確認するとすれば:「自分の治療で皮下注を選べるようになるか」「一緒に使う抗がん剤がある場合、通院の時間はどの程度変わるか」といった点が論点になりうる。
免疫チェックポイント阻害薬の基本はこちら:免疫チェックポイント阻害剤
根拠試験の対象となった肺がんの情報はこちら:肺がん
(Medister編集部 2026年9月30日)
本記事は2026年9月30日時点の公的機関の情報および原著論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
記載の数値は臨床試験に参加した集団の値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- 医薬品医療機器総合機構「承認品目一覧(新医薬品)」(2026年9月16日承認 No.15)(最終確認日: 2026年9月30日)
- MSD「キイジェクト配合皮下注395mg/790mg 製造販売承認を取得」(2026年9月16日)(最終確認日: 2026年9月30日)
- Felip E, et al. Ann Oncol. 2025;36(7):775-785(3475A-D77). DOI: 10.1016/j.annonc.2025.03.012, PMID: 40157574(最終確認日: 2026年9月30日)
- Casarini IA, et al. JCO Oncol Pract. 2026(3475A-F11). DOI: 10.1200/OP-25-01248, PMID: 42234938(最終確認日: 2026年9月30日)
- MSD「キイジェクト配合皮下注 医薬品インタビューフォーム」(2026年9月作成 第1版)(最終確認日: 2026年9月30日)


















