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更新日:2026/09/29

ホルモン受容体陽性・HER2陽性の転移・再発乳がんに、イブランスを加える維持療法が国内承認――第3相PATINA試験で無増悪生存が延長

ホルモン受容体陽性かつHER2陽性の、手術ができない・再発した乳がんを対象に、飲み薬のパルボシクリブ(イブランス)が2026年9月16日に国内で効能追加の承認を受けた※1※2。抗HER2薬と抗がん剤による最初の治療のあとに続ける「維持療法」に上乗せする使い方である。根拠となった海外の第3相試験では、がんが進行するまでの期間が延びた一方、白血球(好中球)の減少などの副作用が増えた※3。

発表のポイント

• 2026年9月16日、イブランスに「ホルモン受容体陽性かつHER2陽性の手術不能又は再発乳癌における化学療法後の維持療法」の効能が追加された。これまでの対象はホルモン受容体陽性・HER2陰性の乳がんだった※1※2
• 根拠はPATINA試験(518人)。抗HER2薬と抗がん剤の治療を4〜8サイクル受けて進行しなかった人を対象に、抗HER2薬とホルモン療法(内分泌療法)による維持療法にイブランスを加える群と加えない群を比べた※3
• がんが進行せずに過ごせた期間(無増悪生存期間)の中央値は44.3か月対29.1か月。一方、グレード3の副作用は79.7%対30.6%で、主に好中球の減少だった※3

概要

乳がんは、がん細胞にホルモン受容体やHER2というタンパク質があるかどうかで性質(サブタイプ)を分け、使う薬を選ぶ参考にしている※4。HER2陽性の乳がんには、HER2を標的とする抗HER2薬を使う※4。転移のあるホルモン受容体陽性・HER2陽性の乳がんでは、抗HER2薬と抗がん剤で治療したあと、抗HER2薬とホルモン療法で維持する流れが標準とされてきた※3。

イブランスは、細胞の増殖に関わるCDK4/6の働きを妨げる飲み薬の分子標的薬である※2。PATINA試験では、維持療法の抗HER2薬(トラスツズマブ単独、またはペルツズマブとの併用)とホルモン療法にイブランスを加えた※2※3。

追跡期間の中央値53.5か月の時点で、無増悪生存期間の中央値はイブランス群44.3か月、比較群29.1か月だった。進行または死亡のリスクは約25%低かった(ハザード比0.75)※3。グレード4の副作用は10.0%対3.6%だった※3。企業の発表によると、血液以外では下痢・感染症・口内炎・疲労が報告された。全生存期間(生存期間そのもの)は、評価に必要な数のイベントがまだ発生していない※2。

この記事の読者にとっての意味

対象になりうるのは、ホルモン受容体陽性かつHER2陽性で、手術ができない・再発した乳がんのうち、抗HER2薬を含む抗がん剤治療を終えた患者さんである※1※3。

今すぐ使えるか:国内で承認された治療である※1。イブランス自体は2017年からホルモン受容体陽性・HER2陰性の乳がんに使われてきた薬で、今回はその対象が広がった※2。進行するまでの期間は延びたが、生存期間が延びるかはまだ分かっていない。好中球の減少が多い点も、治療を選ぶ際の論点になる※2※3。

主治医に確認するとすれば:「自分のがんはホルモン受容体陽性かつHER2陽性にあたるか」「これまでの治療の効果から維持療法の対象になるか」「白血球が減ったときの対応や通院の頻度はどうなるか」といった点が論点になりうる。

乳がんの基本的な情報はこちら:乳がん
がんの治療法の全体像はこちら:がんの治療方法について

(Medister編集部 2026年9月29日)

本記事は2026年9月29日時点の公的機関の情報および原著論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

記載の数値は臨床試験に参加した集団の値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 医薬品医療機器総合機構「承認品目一覧(新医薬品)」(2026年9月16日承認分は掲載PDFに収載)(最終確認日: 2026年9月29日)
  2. ファイザー「乳がん治療薬『イブランス錠』、ホルモン受容体陽性HER2陽性乳がんにおける維持療法として適応拡大の承認取得」(2026年9月16日)(最終確認日: 2026年9月29日)
  3. Metzger O, et al. N Engl J Med. 2026;394(5):451-462(PATINA). DOI: 10.1056/NEJMoa2511218, PMID: 41604639(最終確認日: 2026年9月29日)
  4. 国立がん研究センター がん情報サービス「乳がん 治療」(最終確認日: 2026年9月29日)

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