更新日:2026/09/29
EGFR遺伝子変異のある肺がんの術後オシメルチニブ(タグリッソ)、8年生存率79%対64%――ADAURA試験の長期追跡(探索的解析)
EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺がんで手術を受けた人に、飲み薬のオシメルチニブ(タグリッソ)を術後に使う治療について、第3相ADAURA試験で追跡を延ばし、8年時点の生存率を示した解析が、2026年9月に学術誌Journal of Thoracic Oncologyに掲載された※1。オシメルチニブ群の8年生存率は79%、プラセボ(偽薬)群は64%だった。ただし、試験の計画にはなかった「探索的」な解析である※1。
発表のポイント
• 対象は、手術でがんを取り切った、EGFR遺伝子変異のあるステージIB〜IIIA(1B〜3A期)の非小細胞肺がん682人。術後にオシメルチニブまたはプラセボを最長3年間服用した※1※2
• 全体での8年生存率は79%対64%、ステージII〜IIIAに限ると74%対58%だった。死亡のリスクはいずれも約半分だった(ハザード比0.52と0.53)※1
• 2023年に報告された計画どおりの最終解析(5年生存率88%対78%)のあとも、差が保たれていた※1※2
概要
ADAURA試験は、EGFR遺伝子に変異がある肺がんを手術で切除した人を対象に、再発を抑える目的でオシメルチニブを使う効果を調べた※2。2023年の最終解析では、オシメルチニブ群で生存期間が長いことが示された※2。
今回の論文は、その最終解析(2023年1月時点)のあとも、生存していた558人のうち431人の生存状況を毎年確認し、2026年5月時点までの情報を加えたものである※1。追跡期間の中央値は、全体でオシメルチニブ群93.3か月、プラセボ群79.6か月だった。遺伝子変異のタイプ別では、エクソン19欠失でハザード比0.45、L858R変異で0.72だった。後者は信頼区間が1をまたいでおり、差があるとは言い切れない※1。
探索的な解析は、試験の計画時に定めた主要な比較ではなく、結果は参考的な位置づけになる。また127人は追加の追跡ができず、2023年時点の情報のまま扱われている※1。
この記事の読者にとっての意味
対象になりうるのは、EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺がんで、手術を受けた(または受ける予定の)患者さんである。
今すぐ使えるか:オシメルチニブの術後補助療法は、2022年8月に国内で承認されている※3。今回は新しい治療の承認ではなく、すでに使われている治療の長期データの報告である。
主治医に確認するとすれば:「手術で取った組織のEGFR遺伝子検査の結果はどうか」「自分の病期で術後にオシメルチニブを使う候補になるか」「服用期間中に注意する副作用は何か」といった点が論点になりうる。
肺がんの基本的な情報はこちら:肺がん
再発を防ぐための取り組みはこちら:がん再発予防
(Medister編集部 2026年9月29日)
本記事は2026年9月29日時点の公的機関の情報および原著論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
記載の生存率は臨床試験に参加した集団の統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- Wu YL, et al. J Thorac Oncol. 2026(ADAURA 8年生存の探索的解析, 電子版先行公開). DOI: 10.1016/j.jtho.2026.104179, PMID: 42732874(最終確認日: 2026年9月29日)
- Tsuboi M, et al. N Engl J Med. 2023;389(2):137-147(ADAURA 全生存期間の最終解析). DOI: 10.1056/NEJMoa2304594, PMID: 37272535(最終確認日: 2026年9月29日)
- 医薬品医療機器総合機構「2022年度 承認品目一覧(新医薬品)」(2022年8月24日承認分は掲載PDFに収載)(最終確認日: 2026年9月29日)


















