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更新日:2026/09/25

RAS/BRAF野生型・左側の進行大腸がん、3剤併用にセツキシマブ上乗せで無増悪生存が延長――国内DEEPER試験の最終解析(全体では差なし)

切除できない進行・再発の大腸がんのうち、RAS遺伝子に変異がないタイプを対象に、3種類の抗がん剤を組み合わせる治療(m-FOLFOXIRI)へ上乗せする分子標的薬として、セツキシマブとベバシズマブを比べた国内のランダム化第2相試験「DEEPER試験(JACCRO CC-13)」の最終解析が、2026年8月27日に医学誌Journal of Clinical Oncologyのオンライン版に掲載された。試験全体では無増悪生存期間・全生存期間に差はみられなかった。一方、RAS遺伝子に加えてBRAF遺伝子にも変異がなく、原発巣が大腸の左側にある患者さんに絞った解析では、セツキシマブ群で無増悪生存期間が長かった※1。

発表のポイント

• 国内で行われたランダム化第2相試験の最終解析。試験全体(治療計画どおりに治療を受けた集団)では、無増悪生存期間・全生存期間とも2つの治療に差はなかった※1
• RAS/BRAF野生型かつ原発巣が左側の患者さんでは、無増悪生存期間の中央値がセツキシマブ群14.8か月、ベバシズマブ群11.9か月だった(ハザード比0.71)。全生存期間は50.2か月と40.2か月だったが、統計的に確かな差とはいえない※1
• 男性や肝臓以外にも転移がある患者さんで効果が大きい可能性も示されたが、探索的な解析であり、研究チーム自身も効果と関連する可能性があるという表現にとどめている※1

概要

DEEPER試験は、日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)が実施した試験で、RAS遺伝子に変異がない切除不能の進行・再発大腸がんで、一次治療として薬物療法を始める患者さんが対象である※3。RAS遺伝子に変異があると、セツキシマブなどの「抗EGFR抗体薬」の効果が期待できないことが報告されている※4。m-FOLFOXIRIは、フルオロウラシル(効果を高めるロイコボリンを併用)・オキサリプラチン・イリノテカンの3剤を組み合わせる治療(FOLFOXIRI)を一部変更した方法である※2。

2024年に発表された主な結果では、登録された359人で、主要評価項目である「腫瘍がどこまで小さくなったか(最大腫瘍縮小率)」の中央値がセツキシマブ群57.3%、ベバシズマブ群46.0%と、セツキシマブ群で有意に大きかった。ただし奏効率や、手術でがんを取り切れた割合、無増悪生存期間、全生存期間には差がなかった※2。

今回の最終解析は、追跡期間を延ばして生存期間を改めて調べたものである。RAS/BRAF野生型・左側の集団で無増悪生存期間はハザード比0.71(95%信頼区間0.52〜0.97)と差がみられたが、全生存期間はハザード比0.74(同0.53〜1.05)で、差があるとは言い切れない結果だった※1。

この記事の読者にとっての意味

この結果が関係するのは、切除できない進行・再発の大腸がんで、これから最初の薬物療法を始める患者さん、とくに遺伝子検査でRAS・BRAFに変異がなく、原発巣が左側(下行結腸・S状結腸・直腸)にある方である※4。

今すぐ使えるか:セツキシマブとベバシズマブは、どちらも大腸がんに保険診療で使える薬である。ただし大腸癌研究会のガイドライン2024年版で「国内で使用可能」とされる一次治療のレジメンには、3剤併用+ベバシズマブは含まれているが、3剤併用+セツキシマブは含まれていない※4。2026年版で公表された主な改訂点にも、この組み合わせの追加は挙げられていない※5。今回の結果は第2相試験の最終報告であり、探索的な解析を含むため、標準治療を変える結論ではない。

主治医に確認するとすれば:「自分のRAS・BRAFの検査結果と原発巣の位置から、どの組み合わせが候補になるか」「3剤併用と2剤併用のどちらが自分の体力に合うか」「分子標的薬ごとに予想される副作用」といった点が論点になりうる。

大腸がんの基本的な情報はこちら:大腸がん
再発・転移の仕組みについてはこちら:がんの再発と転移はなぜ起こる?

(Medister編集部 2026年9月25日)

本記事は2026年9月25日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

記載の数値は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. Sunakawa Y, et al. J Clin Oncol. 2026(DEEPER試験 最終解析). DOI: 10.1200/JCO-26-00355, PMID: 42659588(最終確認日: 2026年9月25日)
  2. Shiozawa M, Sunakawa Y, et al. Nat Commun. 2024(DEEPER試験). DOI: 10.1038/s41467-024-54460-2, PMID: 39587053(最終確認日: 2026年9月25日)
  3. 日本がん臨床試験推進機構(JACCRO)「CC-13」(最終確認日: 2026年9月25日)
  4. 大腸癌研究会「大腸癌治療ガイドライン 医師用 2024年版」各論(最終確認日: 2026年9月25日)
  5. 大腸癌研究会「『大腸癌治療ガイドライン医師用 2026年版』主な改訂点」(最終確認日: 2026年9月25日)

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