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更新日:2026/09/23

上部尿路(腎盂・尿管)がん——腎尿管全摘後の単回ピラルビシン膀注療法で膀胱内再発を抑制、国内第3相JCOG1403で証明

腎盂・尿管にできる上部尿路がん(上部尿路上皮がん)で、腎臓と尿管をすべて取り除く腎尿管全摘除術を受けた患者に対し、手術直後に抗がん剤ピラルビシンを膀胱内へ1回だけ注入すると、その後の膀胱内でのがん再発を有意に抑えられることが、国内の多施設共同ランダム化比較第3相試験「JCOG1403」で示された。国立がん研究センター中央病院などの研究グループが2026年9月18日に発表し、成果は国際学術誌「The Lancet Oncology」に掲載された※1※2。3年間で膀胱内などにがんが再発しなかった人の割合は、経過観察群47.0%に対しピラルビシン注入群60.0%だった※1。

発表のポイント

• 対象は腎尿管全摘除術を受けた臨床病期0〜III期の上部尿路がん患者。手術後24時間以内にピラルビシンを膀胱内へ単回注入する群と、注入せず経過観察する群を比較した※1
• 主要評価項目の無再発生存で、3年無再発生存割合は経過観察群47.0%・注入群60.0%、ハザード比0.67(90.96%信頼区間0.50〜0.88、p=0.0066)と再発リスクが有意に低下した※1
• 3年全生存割合は両群で88.4%対89.3%と差はなく、研究グループは本療法が上部尿路がん術後の標準治療の選択肢の一つとなることが示されたとしている※1

概要

上部尿路がんは腎盂や尿管の内側をおおう尿路上皮から生じるがんで、手術で腎臓と尿管を摘出した後も、同じ尿路上皮でつながる膀胱に新たながん(膀胱内再発)が起こりやすいことが知られている。JCOG1403は、この膀胱内再発を手術直後の1回の薬剤注入で減らせるかを検証した試験で、国内44施設が参加した。一次登録した352人のうち、条件を満たした304人(経過観察群151人、ピラルビシン群153人)が解析対象となった※1。ピラルビシンは、膀胱がんの再発予防で膀胱内に注入する使い方が知られる抗がん剤で、今回はそれを上部尿路がんの術後にも応用し、追跡3年の時点で無再発生存の改善を確認した。詳細な試験結果は2026年に The Lancet Oncology に報告された(筆頭著者 Ito A ら)※2。

この記事の読者にとっての意味

今回の結果が関わるのは、腎盂・尿管の上部尿路がんと診断され、腎尿管全摘除術を受ける(あるいは受けた)患者さんです。術後の膀胱内再発は珍しくなく、再発すればさらに内視鏡手術などの負担が加わります。手術直後の1回の膀胱内注入で3年無再発生存割合が47.0%から60.0%へ高まったことは、こうした負担を減らせる可能性を示すものです。ただしこれは試験で示された結果であり、実際に受けられるか、費用や保険の扱いがどうなるかは施設によって異なります。上部尿路がんの手術を控えている場合は、「術後の膀胱内再発を防ぐ処置についてどのような選択肢があるか」を主治医に尋ねてみることで、自身の治療方針と照らし合わせることができます。がんの種類や治療の全体像は腎盂尿管がん・膀胱がんの記事を、再発予防の考え方はがん再発予防の記事もあわせてご覧ください。

(Medister編集部 2026年9月23日)

本記事は2026年9月23日時点の公的機関の情報および学術論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の再発率・生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 国立がん研究センター「上部尿路(腎盂・尿管)がん術後の膀胱内再発予防にピラルビシン膀注療法が有効であることを証明」(最終確認日: 2026年9月23日)
  2. Ito A, et al. Single, early intravesical instillation of pirarubicin in the prevention of bladder recurrence after radical nephroureterectomy for upper tract urothelial carcinoma (JCOG1403): a multicentre, open-label, randomised, phase 3 trial. Lancet Oncol. 2026. DOI:10.1016/S1470-2045(26)00130-0. PMID:42435772(最終確認日: 2026年9月23日)

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