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更新日:2026/09/20

RAS遺伝子変異のある治療歴のある肺がんに経口薬ダラクソンラシブが縮小効果――第1/2相試験、NEJM掲載(国内は研究段階)

RAS遺伝子に変異があり、すでに治療を受けた進行・転移非小細胞肺がんに対して、経口のRAS(ON)阻害薬ダラクソンラシブが腫瘍を縮小させる効果を示したことが、第1/2相試験で報告された。成果は米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(NEJM)に2026年9月2日に掲載された。これまで有効な分子標的薬が乏しかったRAS変異(G12C型を除く)に対する新しいアプローチだが、肺がんについては国内外で未承認であり、現時点では研究段階である。

発表のポイント

• 対象は、G12C型以外のRAS遺伝子変異をもち、過去に治療を受けた進行・転移非小細胞肺がんの患者さん。1日1回内服する経口薬ダラクソンラシブ(RMC-6236)を用いた多施設共同の第1/2相試験(RMC-6236-001)である※1
• 300mg以下を服用した136人での奏効率(腫瘍が一定以上縮小した割合)は用量依存的で、120mg以下で31%、160〜220mgで34%、300mgで37%だった(2025年7月21日データカットオフ、担当医評価)※1
• ドセタキセル(抗がん剤の一つ)未使用の部分集団(160〜220mg・38人)では確定奏効率42%、病勢コントロール率89%、無増悪生存期間の中央値8.3か月、全生存期間の中央値16.0か月だった※1

概要

ダラクソンラシブは、活性化した状態のRASタンパク質に結合してそのはたらきを抑える経口の「RAS(ON)阻害薬」である。RAS遺伝子(KRAS・NRAS・HRASなど)は、がんで最も多く変異がみられる遺伝子の一つだが、長らく薬が効きにくい標的とされてきた。近年、KRAS G12Cという特定の型に対する薬は登場したものの、それ以外の型には分子標的薬の選択肢が乏しかった。本試験(RMC-6236-001、試験登録番号NCT05379985)は、10〜400mgを1日1回・21日間を1周期として投与する用量設定・拡大試験で、対象はG12C型以外のRAS変異をもつ、2次治療以降の進行非小細胞肺がんの患者さんである※1。

安全性の面では、300mg以下を服用した患者さんの54%にGrade3以上の有害事象がみられた。160〜220mgでは治療に関連したGrade3の有害事象が25%に生じ、発疹と下痢が多かった。この用量では、治療に関連したGrade4・5の有害事象は報告されなかった※1。研究チームは、用量依存的な抗腫瘍活性と管理可能な安全性が示されたとしており、現在、有効性を検証する第3相試験が進行中である。

この記事の読者にとっての意味

対象となるのは、RAS遺伝子に変異があり(G12C型を除く)、すでに一度以上治療を受けた進行・転移非小細胞肺がんの患者さんである。RAS変異はがんの代表的な原因遺伝子でありながら、これまで直接ねらう薬が限られていた領域で、今回はその「効きにくかった標的」に対する新しい薬の初期成績が示された点に意味がある。

今すぐ使えるか:ダラクソンラシブは肺がんに対しては国内外のいずれでも承認されておらず、研究段階である。米国では2026年8月に転移性膵がんに対して承認されたが、これは肺がんとは別の適応である※2。日本では膵がんについて希少疾病用医薬品の指定を受けた段階にとどまり、肺がんに対しては第3相試験が進行中で、一般の診療で受けられるわけではない。

主治医に確認するとすれば:「自分の腫瘍にRAS遺伝子変異があるか(がん遺伝子検査で調べられるか)」「現時点で保険で受けられる標準治療にどのような選択肢があるか」「この種の新しい薬を評価している臨床試験の情報はどこで確認できるか」といった点が論点になりうる。臨床試験へ参加するかどうかは、主治医とよく相談したうえで判断する事項である。

肺がんの標準治療についてはこちら:肺がん
がん遺伝子検査についてはこちら:がん遺伝子パネル検査とは?

(Medister編集部 2026年9月20日)

本記事は2026年9月20日時点の公的機関の情報および査読付き論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

記載の数値は臨床試験に参加した集団を対象とした結果であり、個々の患者さんの効果や見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. New England Journal of Medicine「Daraxonrasib for Previously Treated RAS-Mutant Non–Small-Cell Lung Cancer」N Engl J Med. 2026. DOI: 10.1056/NEJMoa2504059, PMID: 42685317(最終確認日: 2026年9月20日)
  2. U.S. Food and Drug Administration「FDA approves daraxonrasib for metastatic pancreatic adenocarcinoma」(最終確認日: 2026年9月20日)
  3. ClinicalTrials.gov「Study of RMC-6236 in Patients With Advanced Solid Tumors Harboring Specific Mutations in RAS(NCT05379985)」(最終確認日: 2026年9月20日)

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