更新日:2026/09/18
切除可能な非小細胞肺がんへの周術期デュルバルマブ療法、長期でも再発抑制効果が持続――AEGEAN試験の更新解析
手術で切除できる非小細胞肺がん(切除可能なステージIIA〜IIIB)に対し、術前から術後にかけて免疫チェックポイント阻害剤デュルバルマブ(イミフィンジ)を化学療法と組み合わせて用いる周術期療法について、第3相AEGEAN試験の更新解析がJournal of Clinical Oncology誌に2026年8月28日付で掲載された。無イベント生存期間(EFS)を改善するベネフィットは長期の追跡でも一貫していた(ハザード比0.69)一方、全生存期間はまだ統計学的に有意な差は示されておらずデータは未成熟である。本療法は日本で2025年9月19日に承認されており、保険適用のもとで受けられる。
発表のポイント
• 更新解析でも無イベント生存期間(EFS)のベネフィットは一貫:ハザード比0.69(95%CI 0.55〜0.88)、解析対象740例、2024年5月10日時点・追跡期間中央値25.9か月※1
• 無病生存期間(DFS)はハザード比0.66(95%CI 0.47〜0.92)と数値上良好。全生存期間(OS)はハザード比0.89(95%CI 0.70〜1.14)で、信頼区間が1をまたいでおり有意差は示されておらず、データは未成熟※1
• 日本では2025年9月19日に「非小細胞肺癌における術前・術後補助療法」として承認済み(対象は切除可能なステージIIA〜IIIB)※3
概要
AEGEAN試験は、切除可能な非小細胞肺がん(ステージII〜IIIB〈N2〉)を対象とした国際共同第3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。EGFR遺伝子変異・ALK遺伝子転座をもつ患者を除いた740例(modified intention-to-treat集団)を1対1に割り付け、「術前に化学療法+デュルバルマブ(4サイクル)→手術→術後にデュルバルマブ単独(12サイクル)」を行うレジメン群と、免疫チェックポイント阻害剤の代わりにプラセボを用いる対照群を比較した。デュルバルマブは、がん細胞が免疫にブレーキをかける仕組み(PD-L1)を解除して、免疫の攻撃力を保つ薬である。
原著は2023年にNew England Journal of Medicine誌に報告され、EFSのハザード比0.68(95%CI 0.53〜0.88、p=0.003902)、術前治療後に手術検体でがんが消失する病理学的完全奏効(pCR)率は17.2%対4.3%と、いずれもデュルバルマブ群で良好だった※2※3。
今回のJournal of Clinical Oncology誌の更新解析は、全患者が治療を完了・中止した後の2回目の中間解析にあたる。無イベント生存期間(EFS=再発・進行・死亡のいずれかが起きるまでの期間)のベネフィットは長期でも一貫し、ハザード比0.69(95%CI 0.55〜0.88)だった。手術ができた患者に限った無病生存期間(DFS)はハザード比0.66(95%CI 0.47〜0.92)、全生存期間(OS)はハザード比0.89(95%CI 0.70〜1.14)だった。OSは信頼区間が1をまたいでおり有意な差は確認されておらず、データは未成熟である。術後補助療法の期間中に生じたGrade3/4の有害事象はデュルバルマブ群15.4%、プラセボ群10.6%だった※1。
この記事の読者にとっての意味
この試験の対象は、手術で切除できる非小細胞肺がん(ステージIIA〜IIIB)の患者さんである。これから手術を予定している方が主な対象となる。EGFR遺伝子変異やALK遺伝子転座をもつ人はこの試験の対象から除かれているため、事情が異なる。
今すぐ使えるか:日本では2025年9月19日に周術期療法として承認されており、保険適用のもとで受けられる。ただし、すべての施設で実施されているとは限らず、適応の判断は主治医が行う。
読み解きの注意:今回の更新解析で長期のベネフィットが確認されたのは無イベント生存期間(再発を抑える指標)である。より重要な全生存期間(OS)については、現時点では数値上の傾向にとどまり、統計学的に「延命につながる」と確定したわけではない点に注意したい。
主治医に確認するとすれば、「自分の病期・遺伝子変異(EGFR/ALK)の有無・肺機能や合併症の状態でこの周術期療法が適応になるか」「術前・術後を通じた投与スケジュールと副作用の見込みはどうか」といった点が論点になりうる。
非小細胞肺がんについてはこちら:肺がんの種類と治療
免疫チェックポイント阻害剤の仕組みについてはこちら:免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)とは
さまざまな免疫療法の違いについてはこちら:免疫療法の比較
(Medister編集部 2026年9月18日)
本記事は2026年9月18日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
記載の数値は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- Heymach JV, et al. J Clin Oncol. 2026 Aug 28(AEGEAN試験 更新解析). DOI: 10.1200/JCO-25-02659, PMID: 42664473(最終確認日: 2026年9月18日)
- Heymach JV, et al. N Engl J Med. 2023;389(18):1672-1684(AEGEAN試験 原著). DOI: 10.1056/NEJMoa2304875, PMID: 37870974(最終確認日: 2026年9月18日)
- アストラゼネカ「アストラゼネカのイミフィンジ、非小細胞肺がんにおける、術前・術後補助療法として日本で承認取得」(最終確認日: 2026年9月18日)


















