更新日:2026/09/10
HER2変異陽性の進行・再発非小細胞肺がんに国内初の経口一次治療薬「ヒアニュオ」が承認
2026年8月24日、バイエル薬品がHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する経口の分子標的薬「ヒアニュオ錠10mg」(一般名: セバベルチニブ水和物)の国内製造販売承認を取得した※1。HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんの一次治療に使える分子標的薬としては、国内で初めての承認とされている。承認に先立って、厚生労働省の薬事審議会 医薬品第二部会が2026年7月27日に承認を了承していた※1。
発表のポイント
• HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの一次治療薬として、2026年8月24日に国内で製造販売承認を取得※1
• 同適応の一次治療に使える分子標的薬としては、国内で初めての承認とされる※1
• 承認の根拠となった第I/II相 SOHO-01試験のうち、これまで薬物療法を受けていない患者さんのコホート(73例)では、客観的奏効率(ORR)71%(95%信頼区間59〜81)、奏効期間(DOR)中央値11.0カ月が報告された(無増悪生存期間は報告時点でデータ収集途上)※2
概要
HER2(ヒーツー)は「ヒト上皮成長因子受容体2型」と呼ばれるたんぱく質で、細胞の増殖を制御する働きをもつ。このたんぱく質をつくる遺伝子(ERBB2)に特定の変異が生じると、がん細胞が過剰に増殖しやすくなることがある。HER2遺伝子変異は非小細胞肺がんの2〜4%にみられるとされる※2。セバベルチニブは、このHER2の異常な働きを標的として抑える経口の分子標的薬(チロシンキナーゼ阻害薬)として開発された。
承認の根拠となったのは、第I/II相の国際共同試験「SOHO-01試験」である。この試験は、これまでの治療歴によって複数のコホート(患者集団)に分けて行われた。このうち、これまで薬物療法を受けていない患者さん73例のコホートでは、主要評価項目である客観的奏効率(ORR: 治療によってがんが一定以上縮小した患者さんの割合)が71%(95%信頼区間59〜81)、奏効期間(DOR: 奏効が続いた期間)の中央値が11.0カ月と報告された。無増悪生存期間(PFS: がんが悪化せずに過ごせた期間)は、報告時点ではデータが十分に集まっていない段階だった※2。試験全体で最も多くみられた副作用は下痢だった※2。試験の詳細は2025年に医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(N Engl J Med)」に掲載されている。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、HER2(ERBB2)遺伝子変異が確認された切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの患者さんで、一次治療(初めて薬物療法を受ける段階)の方が対象となる。
国内での製造販売承認は取得されたが、実際に処方・保険適用となるのは薬価収載(保険で使える価格が国に定められること)の後になる。薬価収載の時期については主治医や担当の医療機関に確認するのが確実だ。
主治医と話す際の論点として、次のような点が挙げられる。
・自分の腫瘍でHER2(ERBB2)遺伝子変異の検査を受けたことがあるか、またはがん遺伝子パネル検査を受けたことがあるか
・現在の治療方針との関係(すでに別の治療が始まっている場合、どのような位置づけになるのか)
HER2変異の有無は遺伝子検査やがん遺伝子パネル検査で確認できることがある。がん遺伝子パネル検査についてはがん遺伝子パネル検査(がん治療.com)をご参照ください。肺がん全般の情報は肺がんについて(がん治療.com)にまとめています。
(Medister編集部 2026年9月10日)
本記事は2026年9月10日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。


















