更新日:2026/09/10
進行・再発胃がんの一次治療に「テビムブラ」承認――抗PD-1抗体薬の選択肢が加わる
2026年6月19日、ビーワン・メディシンズ合同会社は「テビムブラ点滴静注100mg」(一般名: チスレリズマブ(遺伝子組換え))について、厚生労働省から「治癒切除不能な進行・再発の胃癌」への適応追加承認を取得したと発表した※1。他の抗悪性腫瘍剤との併用療法として使用するもので、国際共同第III相試験(RATIONALE-305試験)の結果を主な根拠としている※2。抗PD-1抗体薬として、胃がんの一次治療で使える選択肢に加わった。
発表のポイント
• 2026年6月19日、製造販売承認事項の一部変更承認(適応追加)を取得
• 根拠はプラセボ対照・二重盲検・無作為化の国際共同第III相RATIONALE-305試験
• 全体集団のOS中央値15.0カ月(チスレリズマブ群)vs 12.9カ月(プラセボ群)、PD-L1陽性(TAP≧5%)集団では17.2カ月 vs 12.6カ月
概要
チスレリズマブは、免疫チェックポイント阻害剤の一種である抗PD-1抗体薬。がん細胞が免疫細胞(T細胞)による攻撃を回避する仕組み(PD-1/PD-L1経路)を阻害することで、免疫の抗腫瘍作用を回復させる働きをすると考えられている。
承認の根拠となったRATIONALE-305試験は、HER2陰性の切除不能な進行・再発の胃腺癌または食道胃接合部腺癌を対象に、標準化学療法との併用を検討した国際共同第III相試験(プラセボ対照・二重盲検・無作為化)※2。全体集団での全生存期間(OS)中央値は、チスレリズマブ群が15.0カ月、プラセボ群が12.9カ月(ハザード比0.80)だった。また、TAP(Tumor Area Positivity: 腫瘍のPD-L1発現量を表す指標の一つ)が5%以上のPD-L1陽性集団では、OS中央値はチスレリズマブ群17.2カ月、プラセボ群12.6カ月(ハザード比0.74)だった※2。
このほか、腹膜転移を有するTAP≧5%集団での3年OS率19.7%という報告があるが、これは探索的な事後解析であり、主要な試験結果とは性格が異なる※3。
今回の承認により、胃がん一次治療における抗PD-1抗体薬の選択肢の一つが加わった。既存の抗PD-1抗体薬との直接比較試験は行われておらず、優劣は断定できない。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、HER2陰性で治癒切除が不能な進行・再発の胃がんと診断された患者さん、主に一次治療(最初の薬物療法)を検討している方とその家族。承認は2026年6月に取得済みだが、実際の処方や保険適用の詳細(適用時期・条件等)については、主治医への確認が必要。
主治医に確認するとよい論点として、以下が考えられる。「自分の腫瘍はHER2陰性かどうか」「TAPの検査結果はどうか」「チスレリズマブを含む選択肢が自分の状態に合うかどうか」。TAPは腫瘍の性質を調べる検査結果の一つで、治療薬の適応判断に用いられるが、主治医が評価するものであり、読者が数値を見て自己判断する性質のものではない。
胃がんの基礎知識については胃がんの治療を、免疫チェックポイント阻害剤の仕組みについては免疫チェックポイント阻害剤も参考にしてほしい。
(Medister編集部 2026年9月10日)
本記事は2026年9月10日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
記載の生存期間の数値は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- ビーワン・メディシンズ合同会社「テビムブラ点滴静注100mgの製造販売承認事項一部変更承認取得に関するお知らせ」(最終確認日: 2026年9月10日)
- Qiu MZ, et al. “Tislelizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy as first line treatment for advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma: RATIONALE-305 randomised, double blind, phase 3 trial.” BMJ. 2024;385:e078876. DOI: 10.1136/bmj-2023-078876(PMID 38806195)(最終確認日: 2026年9月10日)
- eClinicalMedicine「RATIONALE-305 腹膜転移サブグループ事後解析」(最終確認日: 2026年9月10日)


















