更新日:2026/09/08
点滴のキイトルーダに皮下注射版――ペムブロリズマブ皮下注「キイジェクト」が薬事審議会 第二部会で審議、投与は約2分の見込み
厚生労働省の薬事審議会 医薬品第二部会は2026年8月24日、抗PD-1抗体「ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)」の皮下注射版「キイジェクト配合皮下注」の製造販売承認の可否を審議した※1。これまで点滴(静脈内投与)で使われてきた免疫チェックポイント阻害薬に、注射時間が中央値約2分ですむ皮下注製剤が加わる見込みで、承認に向けた審査が進んでいる。根拠となった海外の第III相試験では、皮下注は点滴と血中濃度が同等(非劣性)で、効果や安全性も一貫していた※2。ただし国内ではまだ承認・発売はされていない。
発表のポイント
• 2026年8月24日の薬事審議会 医薬品第二部会で、ペムブロリズマブの皮下注製剤「キイジェクト配合皮下注」の製造販売承認の可否が審議された(承認前の審査段階)※1
• 皮下注は注射にかかる時間が中央値約2分と短く、海外の第III相試験では治療室での滞在時間が点滴より47.4%短かった※2
• 血中濃度(薬物動態)は点滴と非劣性で、奏効率や副作用の頻度も点滴とほぼ同等だった※2
概要
ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)は、がん細胞が免疫細胞にかけた「ブレーキ」を外し、免疫ががんを攻撃できるようにする免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)で、肺がんをはじめ多くのがん種で使われている※3。これまでは点滴(静脈内投与)だけだったが、今回審議された「キイジェクト配合皮下注」は、ペムブロリズマブに酵素ベラヒドロニダーゼ アルファを配合し、皮下注射で投与できるようにした製剤である※1。
根拠となった海外の第III相試験(3475A-D77試験、転移性の非小細胞肺がんを対象に化学療法と併用)では、皮下注の血中濃度が点滴に対して非劣性で(事前に定めた基準を満たした)、奏効率は皮下注45.4%・点滴42.1%とほぼ同等、治療に関連する副作用の頻度も両群で近かった※2。注射にかかる時間は中央値約2分で、点滴(通常約30分)に比べて治療室での滞在時間が47.4%短縮したと報告されている※2。
2026年8月24日の第二部会では、この製剤の製造販売承認の可否などが審議事項として取り上げられた※1。部会での審議は正式な承認に向けた過程の一つであり、現時点で国内での承認・発売には至っていない。
この記事の読者にとっての意味
関係するのは、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)による治療を受けている、またはこれから受ける可能性のある患者とその家族である。キイトルーダは肺がんなど幅広いがん種で使われており、皮下注版が承認されれば、点滴に比べて1回あたりの投与時間や通院時の拘束時間が短くなる可能性がある。一方で、これは免疫チェックポイント阻害薬そのものであり、免疫が過剰に働くことで起こる副作用(免疫関連有害事象)のリスクは点滴版と変わらないと考えられる。現時点では承認前で、いつから・どのがん種で使えるようになるかは決まっていない。主治医に相談する際は、「自分の治療でキイトルーダを使っているか(使う予定か)」「皮下注版が選べるようになった場合に切り替えられるのか」を確認するとよい。治療法の選択は、効果・副作用・生活への影響を含めて主治医と話し合って決めるものである。
(Medister編集部 2026年9月8日)
本記事は2026年9月8日時点の公的機関の公表情報および査読付き論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「薬事審議会 医薬品第二部会(令和8年8月24日開催)議事次第・審議品目(別紙)」(最終確認日: 2026年9月8日)
- Kobayashi N. Subcutaneous administration of pembrolizumab: a paradigm shift toward patient-centered cancer care. J Thorac Dis. 2025. DOI:10.21037/jtd-2025-1825(PMID: 41377001)(最終確認日: 2026年9月8日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「薬物療法 免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)」(最終確認日: 2026年9月8日)


















