更新日:2026/09/07
食道がんに腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン」が保険適用――手術も化学放射線療法も受けられない患者への選択肢
富士フイルム富山化学は2026年8月21日、食道がんを対象とした腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン注(一般名スラタデノツレブ)」を発売した※1。2026年6月8日に製造販売承認を取得し、8月13日に薬価収載されており、公的医療保険が使える治療となった。対象は「根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がん」で、手術も根治を目指した化学放射線療法も選べなかった患者に、新たな治療の選択肢が加わる※1。
発表のポイント
• 食道がんに対する腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン注(一般名スラタデノツレブ)が2026年6月8日に承認され、8月21日に発売された※1
• 効能・効果は「根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がん」で、薬価収載済みのため公的医療保険が使える※1
• 岡山大学発のベンチャー企業が開発した国産の治療薬であり、国内の第II相企業治験(全国17施設)をもとに承認された※2
概要
腫瘍溶解ウイルス製剤とは、がん細胞のなかで選択的に増えてがん細胞を壊すよう設計されたウイルスを用いる薬である。テロメライシン注は、かぜの原因ウイルスの一種であるヒトアデノウイルス5型を、腫瘍細胞で特異的に増殖するよう遺伝子改変したものとされる※1。腫瘍に直接注射して用いる局所投与の薬である。
開発は岡山大学発のベンチャーであるオンコリスバイオファーマが進め、販売を富士フイルム富山化学が担う※1※2。承認の根拠となったのは、全国17施設で2020年から行われた国内第II相の企業治験で、根治切除にも化学放射線療法にも進めない患者が対象とされた※2。岡山大学は治験の結果について「約半分の患者さんで局所の食道がんが消失」したと説明している※2。ただしこれは対照群と比較する試験ではなく単群の試験であり、生存期間をどの程度延ばすかは、今後の使用や追加の検討を通じて確かめられていく段階である。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、食道がんのうち手術(根治切除)も根治を目指した化学放射線療法も受けられないと判断された患者である。標準治療である手術・薬物療法・放射線治療の選択肢が限られていた層にとって、保険が使える新しい治療が加わった意味は小さくない※3。一方で、腫瘍への局所投与を要するため、実施できる医療機関は当面限られる可能性がある。主治医に相談する際は、「自分の病状がこの薬の対象にあたるか」「受けられる施設はどこか」「これまでの放射線治療や薬物療法とどう組み合わせるのか」を確認するとよい。治療の適否は主治医と話し合って決めるものであり、この記事は選択肢の存在を知らせるものである。
(Medister編集部 2026年9月7日)
本記事は2026年9月7日時点の企業・公的機関の公表情報および学術機関のプレスリリースをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 富士フイルム富山化学「腫瘍溶解ウイルス製剤『テロメライシン®注』発売のお知らせ」(最終確認日: 2026年9月7日)
- 岡山大学「厚生労働省に標準治療が難しい食道がんに対する腫瘍溶解ウイルス製剤『テロメライシン』の医薬品製造販売承認申請を実施」(最終確認日: 2026年9月7日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「食道がん」(最終確認日: 2026年9月7日)


















