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更新日:2026/09/07

抗がん剤の吐き気どめ「オランザピン」、糖尿病患者への禁忌を条件付きで解除する方針――入院管理下での使用に道

厚生労働省の医薬品等安全対策部会・安全対策調査会は2026年7月29日、抗がん剤治療に伴う吐き気・嘔吐(CINV)に用いる制吐薬オランザピン(販売名ジプレキサ錠など)について、糖尿病の患者・糖尿病の既往がある患者への「禁忌」を、この用途に限って条件付きで解除する方針をまとめた※1。これまで糖尿病があると使えなかった標準的な吐き気どめが、入院管理などの条件のもとで使えるようになる見通しである。

発表のポイント

• 抗がん剤による吐き気・嘔吐に用いる場合に限り、オランザピンの「糖尿病患者・既往のある患者は禁忌」を条件付きで解除する方針が示された※1
• 条件は、入院管理下で血糖コントロールが良好な患者に限ること、投与前・投与中に毎日頻回の血糖モニタリングを行うこと、緊急時に対応できる体制を整えることなど※1
• 統合失調症など他の効能・効果での禁忌は、これまでどおり維持される※1

概要

オランザピンは、もともと統合失調症などに使われる薬だが、2017年に「抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)」が効能に追加され、がん治療の吐き気どめ(制吐薬)としても使われてきた※1。一方で、重い高血糖の副作用が報告されたことから、2002年以降は糖尿病の患者・既往のある患者には「禁忌」とされ、この用途でも使えなかった※1。

吐き気・嘔吐が強く出やすい高度催吐性の抗がん剤(シスプラチンなど)に対しては、セロトニン受容体拮抗薬・NK1受容体拮抗薬・デキサメタゾン・オランザピンの4剤を組み合わせる方法が、日本・米国・欧州のガイドラインで標準的な制吐療法とされている※1。しかし日本では糖尿病患者がオランザピンを使えず、この標準的な組み合わせに加われなかった。今回、日本癌治療学会(JSCO)の要望を受けてPMDA(医薬品医療機器総合機構)が評価したうえで、CINVに使う場合に限り禁忌を解除して差し支えないと判断された※1。退院は直近の血糖値が十分に安定したことを確認したうえで判断するなど、安全管理を前提とする条件が付く※1。

この記事の読者にとっての意味

関係するのは、糖尿病がある、または糖尿病の既往があり、これから吐き気の強い抗がん剤治療を受ける患者とその家族である。これまでは糖尿病を理由に、最も効果的とされる4剤併用の吐き気どめに加われないことがあったが、入院での血糖管理を前提に、その選択肢が広がる方向にある。ただし条件は厳しく、外来で気軽に使えるものではない。主治医に相談する際は、「自分の治療でオランザピンを含む制吐療法が使えるか」「使う場合の入院や血糖管理はどうなるか」を確認するとよい。治療に伴う吐き気・副作用への対策は人によって異なり、判断は主治医と話し合って決めるものである※2。

(Medister編集部 2026年9月7日)

本記事は2026年9月7日時点の公的機関の公表情報をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

  1. 厚生労働省 医薬安全対策課「オランザピンの『使用上の注意』の改訂について」(令和8年第5回医薬品等安全対策部会安全対策調査会 資料1-1、2026年7月29日)(最終確認日: 2026年9月7日)
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「吐き気・嘔吐」(最終確認日: 2026年9月7日)

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