更新日:2026/09/06
ミルベツキシマブ ソラブタンシン、国内で承認申請中——プラチナ抵抗性の再発卵巣がん・FRα陽性を対象
武田薬品工業は2026年1月30日、抗体薬物複合体(ADC)「ミルベツキシマブ ソラブタンシン(一般名)」について、葉酸受容体α(FRα)陽性のプラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がんを予定効能として、国内で製造販売承認申請を行ったと発表した※1。優先審査の対象に指定されており、現時点では審査中であって承認・保険適用はされていない。米国では2022年の迅速承認を経て2024年に本承認を取得しており、現在40以上の国・地域で承認済みである※1。
発表のポイント
• 武田薬品工業が2026年1月30日、プラチナ抵抗性の再発卵巣がんに対するミルベツキシマブ ソラブタンシンの国内製造販売承認申請を完了した(優先審査対象)※1
• 根拠となる国際第3相MIRASOL試験(453例)で、FRα高発現の患者においてPFS中央値5.62か月、客観的奏効率42.3%を示した※2
• 国内は現在審査中であり、使用可否・時期は未定。米国を含む40以上の国・地域ではすでに承認済み※1
概要
ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、がん細胞の表面に過剰に現れる「葉酸受容体α(FRα)」を標的とする抗体薬物複合体(ADC)である。ADCとは、標的を狙う抗体と細胞を傷害する薬剤を組み合わせた薬の総称で、がん細胞に選択的に薬を届けることを目指す設計の薬剤類型である。
有効性の根拠となったのは国際第3相MIRASOL試験である。プラチナ抵抗性・高異型度漿液性卵巣がん(前治療1〜3ライン)でFRα高発現(腫瘍細胞の75%以上が一定以上の染色強度)の患者453例を、ミルベツキシマブ ソラブタンシン群227例と医師が選択した化学療法群(パクリタキセル、ペグ化リポソームドキソルビシン、トポテカンのいずれか)226例に1対1で無作為に割り付けた※2。
主要評価項目である担当医評価の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、ADC群5.62か月・化学療法群3.98か月(p<0.001)。客観的奏効率(ORR)はADC群42.3%・化学療法群15.9%(オッズ比3.81、p<0.001)。全生存期間(OS)中央値はADC群16.46か月・化学療法群12.75か月(死亡ハザード比0.67、95%CI 0.50〜0.89、p=0.005)であった※2。Grade3以上の有害事象の発現率はADC群41.7%・化学療法群54.1%であり、化学療法群のほうが高かった※2。
「プラチナ抵抗性」の再発卵巣がんとは、プラチナ製剤(カルボプラチンなど)による治療後に短期間で再発・進行した状態を指す。この局面では化学療法の効果が限られ、治療選択肢が少ないことが課題とされている。眼の症状(角膜への影響・霧視など)や消化器症状がこの薬剤に特徴的な副作用として知られており、投与中のモニタリングが必要とされる。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、プラチナ製剤抵抗性の再発卵巣がんで、かつFRαの発現が高いと確認された患者さんである。
現時点で国内では使用できない。2026年1月30日に製造販売承認申請が行われた段階であり、現在審査中である。いつ承認されるかは未定であり、仮に承認されても保険適用の手続きが別途必要になる。海外(米国・欧州ほか40以上の国・地域)ではすでに承認済みである※1。
この薬の対象かどうかを判断するには「葉酸受容体α(FRα)の発現状況」を病理検査で確認する必要がある。再発卵巣がんの治療を検討している場合、「自分の腫瘍でFRαの発現が調べられているか」「プラチナ抵抗性と判断された後にはどのような治療の選択肢があるか」は、主治医に相談する際の論点として挙げられる。ただし、現時点では国内で本剤を受けられる状況ではない点は念頭に置く必要がある。
卵巣がん全般の解説は卵巣がんを、抗がん剤治療を受ける際の副作用についてはがん治療の副作用と合併症を参照いただきたい。
本記事は2026年9月6日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の生存期間・奏効率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
(Medister編集部 2026年9月6日)
参考資料
- 武田薬品工業「ミルベツキシマブ ソラブタンシン 国内製造販売承認申請のお知らせ」(最終確認日: 2026年9月6日)
- Moore KN, et al. “Mirvetuximab Soravtansine in FRα-Positive, Platinum-Resistant Ovarian Cancer.” N Engl J Med. 2023;389(23):2162-2174. DOI: 10.1056/NEJMoa2309169(PMID: 38055253)(最終確認日: 2026年9月6日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「卵巣がん・卵管がん」(最終確認日: 2026年9月6日)


















