更新日:2026/09/05
HER2遺伝子変異陽性の肺がんに分子標的薬「ヒアニュオ」国内承認――一次治療から使える経口薬、国際共同試験SOHO-01が根拠
バイエル薬品は2026年8月24日、非小細胞肺がんの治療薬「ヒアニュオ錠」(一般名:セバベルチニブ)が製造販売承認を取得したと発表しました※1。対象は「HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」です。HER2遺伝子変異そのものを標的とする分子標的薬が国内で承認されたのは初めてで、経口薬として一次治療から使えます。
発表のポイント
• バイエル薬品が2026年8月24日、ヒアニュオ錠(一般名セバベルチニブ)の製造販売承認を取得。効能・効果は「HER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」※1
• HER2遺伝子変異は非小細胞肺がんの2〜4%にみられる。この変異を標的とする分子標的薬の国内承認は初めてで、一次治療から使用できる経口薬である※1※2
• 承認の根拠は国際共同第I/II相試験SOHO-01。未治療の患者では奏効割合71%(95%信頼区間59〜81)が報告された※2
概要
セバベルチニブは、がん細胞の増殖にかかわるHER2というタンパクの信号を内側から遮る、経口のチロシンキナーゼ阻害薬(飲み薬の分子標的薬)です※2。承認の根拠となったSOHO-01は、局所進行または転移のあるHER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん209人を対象とした第I/II相試験で、主要評価項目は画像評価による奏効(腫瘍の縮小)でした※2。
過去に治療歴がありHER2を標的とする薬を使っていないグループ(81人)では、奏効割合64%(95%信頼区間53〜75)、効果が続いた期間の中央値9.2カ月、病気が進行せずにすんだ期間(無増悪生存期間)の中央値8.3カ月でした※2。これまで治療を受けていないグループ(73人)では奏効割合71%(同59〜81)、効果の持続期間の中央値11.0カ月と報告されています※2。主な副作用は下痢で、多くの患者にみられ、一部では重い下痢も生じました。薬剤に関連する重い(グレード3以上の)有害事象は31%、副作用による治療中止は3%でした※2。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、HER2(ERBB2)遺伝子変異が確認された、手術で治しきれない進行・再発の非小細胞肺がんの患者さんです。使うにはまず、自分のがんにこの変異があるかを調べる遺伝子検査が前提になります(がん遺伝子パネル検査など)。段階としては国内で承認済みで、一次治療から使えます(薬価収載・発売の時期は本稿執筆時点では確認できていません)。主治医に相談するとしたら、自分のがんでHER2遺伝子変異の検査が行われているか、この薬が自分の治療方針に合うか、下痢などの副作用にどう備えるか、といった点が論点になります。肺がんの治療全体の流れは肺がんの解説ページもあわせてご覧ください。
(Medister編集部 2026年9月5日)
本記事は2026年9月5日時点の公的機関の情報および企業の発表、査読付き論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- バイエル薬品「プレスルーム(2026年)ヒアニュオ承認に関するお知らせ」(最終確認日: 2026年9月5日)
- Le X, et al. Sevabertinib in Advanced HER2-Mutant Non-Small-Cell Lung Cancer. N Engl J Med. 2025. DOI:10.1056/NEJMoa2511065(SOHO-01試験)(最終確認日: 2026年9月5日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「肺がん」(最終確認日: 2026年9月5日)


















