更新日:2026/09/05
進行・再発の胃がんに免疫薬「テビムブラ」が適応拡大――化学療法との併用で使用可能に、国際共同試験RATIONALE-305が根拠
ビーワン・メディシンズ(旧ベイジーン ジャパン)は2026年6月19日、抗PD-1抗体「テビムブラ点滴静注100mg」(一般名:チスレリズマブ)が「治癒切除不能な進行・再発の胃がん」への適応追加の承認を取得したと発表しました※1。すでに承認されている食道がんに続く適応拡大で、他の抗がん剤(化学療法)との併用で使えます。進行胃がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の選択肢がまた一つ加わりました。
発表のポイント
• ビーワン・メディシンズが2026年6月19日、テビムブラ点滴静注100mg(一般名チスレリズマブ)について、治癒切除不能な進行・再発の胃がんへの適応追加の承認を取得。化学療法との併用療法である※1
• 根拠は国際共同第III相試験RATIONALE-305。HER2陰性の胃・食道胃接合部腺がんが対象で、全生存期間を有意に延長した(ITT集団でハザード比0.80、95%信頼区間0.70〜0.92)※1※2
• 胃がんは日本で3番目に多いがん。2023年に約104,864人が罹患し、約37,867人が死亡したと推計される※3
概要
チスレリズマブは、免疫の「ブレーキ」役であるPD-1を標的とする抗体医薬(免疫チェックポイント阻害薬)です※1。承認の根拠となったRATIONALE-305は、切除不能な進行・再発のHER2陰性胃腺がんまたは食道胃接合部腺がんの患者を対象とした国際共同第III相・二重盲検プラセボ対照試験です※1※2。
テビムブラ+化学療法群は、プラセボ+化学療法群と比べ、全生存期間がITT(試験対象全体)集団でハザード比0.80(95%信頼区間0.70〜0.92)、PD-L1の発現が高い集団(TAP5%以上)でハザード比0.74(同0.59〜0.94)と、いずれも統計学的に有意に延長しました※1※2。TAP5%以上の集団では、病気が進行せずにすんだ期間(無増悪生存期間)もハザード比0.68(同0.56〜0.83)でした※1※2。主な副作用(発現率30%以上)は、悪心、食欲減退、血小板数減少、好中球数減少、嘔吐、貧血でした※1。なお、胃がんはステージが進んで見つかることが多く、ステージIV(4期)と診断された場合の5年生存率は6.3%と報告されています※4。
この記事の読者にとっての意味
対象となるのは、手術で治しきれない進行・再発の胃がん(HER2陰性の腺がんが中心)の患者さんです。免疫薬を単独ではなく、抗がん剤(化学療法)と併用する治療です。段階としては国内で承認済みで、保険診療のなかで使える見込みです。試験では、PD-L1の発現の程度(TAPという指標)によって効果の見え方に差があることも示されています。主治医に相談するとしたら、自分の胃がんがHER2陰性か、PD-L1の発現の検査結果はどうか、免疫薬を併用する意義と免疫関連の副作用のリスク、といった点が論点になります。胃がんの治療全体の流れは胃がんの解説ページ、免疫薬のしくみは免疫チェックポイント阻害剤の解説もあわせてご覧ください。
(Medister編集部 2026年9月5日)
本記事は2026年9月5日時点の公的機関の情報および企業の発表、査読付き論文をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- ビーワン・メディシンズ合同会社「テビムブラ点滴静注100mg、治癒切除不能な進行・再発の胃癌に関する適応追加の承認を取得」(2026年6月19日)(最終確認日: 2026年9月5日)
- Qiu MZ, et al. Tislelizumab plus chemotherapy versus placebo plus chemotherapy as first line treatment for advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RATIONALE-305). BMJ. 2024;385:e078876.(最終確認日: 2026年9月5日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん統計」(罹患・死亡, 人口動態統計2023年ほか)(最終確認日: 2026年9月5日)
- 国立がん研究センター がん情報サービス「院内がん登録生存率集計」(2014-2015年5年生存率)(最終確認日: 2026年9月5日)


















