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更新日:2026/09/04

多発性骨髄腫「サークリサ」に皮下注射製剤が承認――点滴から短時間の皮下注へ、投与の負担が変わる

サノフィは2026年6月19日、多発性骨髄腫の治療薬「サークリサ」(一般名:イサツキシマブ〔遺伝子組換え〕)について、皮下注射製剤の製造販売承認を取得したと発表した※1。これまで点滴静注だけだったサークリサに皮下注という投与方法が加わり、投与に要する時間が大幅に短くなる。骨髄腫の治療を続ける患者さんの通院時の負担にかかわる変化である。

発表のポイント

• サノフィが2026年6月19日、抗CD38抗体サークリサ(イサツキシマブ)の皮下注射製剤の製造販売承認を取得。適応は多発性骨髄腫で、ポマリドミド・デキサメタゾン併用(Pd)、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用(Kd)、ボルテゾミブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用(VRd)が対象※1
• 皮下注は点滴静注に比べて投与に要する時間を大幅に短縮でき、市販のシリンジを用いた手動投与も可能になった※1
• 承認の根拠となった国際共同第III相IRAKLIA試験では、皮下投与の客観的奏効率(ORR)は71.1%で静注群70.5%に対し非劣性を示し、点滴時に起こりうる投与時反応(Infusion reaction)の発現率は皮下投与群1.5%・静注群25.0%だった※1

概要

多発性骨髄腫は、血液のなかで抗体をつくる形質細胞ががん化する血液のがん(血液腫瘍)である。現時点では治癒が難しいものの、治療の進歩で長期の生存が可能になってきた疾患だ。サークリサは、骨髄腫の細胞の表面に多くあらわれるCD38というたんぱく質を標的とするモノクローナル抗体(抗体医薬)で、日本では2020年8月に点滴静注製剤が発売されている※1。

今回追加されたのは、同じ有効成分の皮下注射製剤である。承認は、皮下投与を検討した5つの試験結果に基づく。中心となった国際共同第III相IRAKLIA試験は、レナリドミドとプロテアソーム阻害剤を含む治療歴のある再発または難治性の多発性骨髄腫の患者を対象に、Pd療法に皮下投与を組み合わせる方法と、静脈内投与を組み合わせる方法を比較した※1。奏効率(ORR)と血中の薬物濃度を複合主要評価項目として、皮下投与の静注に対する非劣性が示され(ORRは皮下投与群71.1%、静注群70.5%)、安全性はこれまで静注で確立された内容と同様だった。点滴時に起こりうる投与時反応(Infusion reaction)の発現率は皮下投与群で低かった(皮下1.5%、静注25.0%)※1。

この記事の読者にとっての意味

この承認が関係するのは、Pd・Kd・VRdのいずれかの併用療法でサークリサを使う多発性骨髄腫の患者さんである。承認日は2026年6月19日で、今回紹介している内容は国内承認済みだ。今回の変更は有効成分や適応そのものが新しくなったわけではなく、投与方法(剤形)の選択肢が増えたという位置づけである点を押さえておきたい。

点滴静注は投与に時間がかかり、通院のたびに病院で長く過ごす負担があった。皮下注が選べるようになったことは、投与にかかる時間、ひいては病院での拘束時間を短くできる可能性を意味する。主治医に確認するとしたら、自分が受けている治療で皮下注への切り替えができるか、切り替えた場合の利点や注意点、実際に選べる時期や施設はどうか、といった点が論点になりうる。保険適用の詳細や導入時期は医療機関により異なるため、担当の医療機関に確認する必要がある。治療の選択はあくまで主治医との相談によるものであり、この記事が方針を指示するものではない。

血液のがんの基礎的な情報は白血病のページが、抗がん剤治療で起こりうる副作用の考え方はがん治療の副作用と合併症のページが、それぞれ参考になる。

(Medister編集部 2026年9月4日)

本記事は2026年9月4日時点の公的機関の情報および企業の公式発表をもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の奏効率などの数値は臨床試験に参加した集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. サノフィ株式会社「多発性骨髄腫治療薬『サークリサ®』、皮下注射製剤の承認を取得」(2026年6月19日)(最終確認日: 2026年9月4日)

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