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更新日:2026/09/02

デュルバルマブ(イミフィンジ)、高リスク筋層非浸潤性膀胱がんに国内承認──BCGと組み合わせる免疫療法が30年ぶりの新選択肢に

厚生労働省は2026年8月24日、デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)を「高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)」の治療薬として、BCG(カルメット・ゲラン菌)との併用で使う免疫療法に承認した。日本初かつ唯一の高リスクNMIBCに対する免疫併用療法となる※1。高リスクNMIBCは、がんが膀胱の筋層まで達していない段階だが、BCGが効かなくなると膀胱全摘除術を検討せざるを得ない状況が生じることがある。今回の承認で、膀胱を残したままBCGに免疫療法を上乗せできる選択肢が国内で初めて整った。

発表のポイント

• 厚生労働省が2026年8月24日付でデュルバルマブ(イミフィンジ)を高リスクNMIBCに対しBCGとの併用で承認。日本初かつ唯一の免疫併用療法※1
• 根拠は第III相POTOMAC試験。BCG未治療の高リスクNMIBC患者で、BCG単独群と比べ再発・進行・死亡のリスクを32%低下(ハザード比 0.68、95%信頼区間 0.50–0.93、p=0.0154)、追跡期間中央値60.7カ月※1※2
• 日本では2024年に19,000人以上が高リスクNMIBCの治療を受けており、高リスク患者では治療後5年以内に最大80%が再発を経験するとされる※1

概要

筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)は、がんが膀胱壁の筋層まで達していない段階を指す。NMIBCのなかでも高リスクに分類された患者には、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)後にBCGを膀胱内に注入する治療が標準的に用いられてきた。しかし再発を繰り返したり、BCGに反応しなくなったりした場合、膀胱の全摘除術を検討しなければならない場面がある。

デュルバルマブはPD-L1を標的とする免疫チェックポイント阻害剤の一種だ。免疫チェックポイント阻害剤とは、がん細胞が免疫の「ブレーキ」を踏む仕組みを遮断し、体自身の免疫がより強くがん細胞を攻撃できるようにする薬の総称である。BCGにデュルバルマブを1年間上乗せする治療法を評価したのが、国際共同第III相のPOTOMAC試験だ※2。追跡期間の中央値60.7カ月(5年以上)の結果では、BCG未治療の高リスクNMIBCを対象に、併用群がBCG単独群と比べて高リスク疾患の再発・進行・死亡のリスクを32%低下させた(ハザード比 0.68、95%信頼区間 0.50–0.93、p=0.0154)※1。DFSのベネフィットは治療開始4カ月未満から早期かつ持続的に認められたことも報告されている。さらに2026年5月の米国泌尿器科学会(AUA)での探索的解析では、治療開始後1年間の高リスク疾患イベントおよびBCG不応性再発が、併用群で単独群の約半数だったことも示された※1。この試験結果はESMO 2025で発表され、The Lancetに同時掲載されている※2。

今回の承認を受け、筑波大学の西山博之教授は「BCG未治療の高リスクNMIBC患者に対し、30年ぶりに承認された新たな治療法」とコメントしている※1。

この記事の読者にとっての意味

この承認が対象とするのは、高リスクと診断された筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)の患者さん、とくにBCGによる治療がまだ始まっていない段階にある方だ(POTOMAC試験の対象はBCG未治療)。国内承認日は2026年8月24日であり、今回紹介している内容は国内承認済みの治療選択肢だ。保険適用の詳細や実際の処方開始時期については、担当する医療機関に確認する必要がある。

高リスクNMIBCでは、標準治療のBCGを行っても5年以内の再発率が最大80%に達する場合があるとされ※1、再発や難治化の際に膀胱全摘という選択を迫られることがある。BCGに免疫療法を組み合わせることで膀胱を温存しながら再発リスクを下げられる可能性を持つ選択肢が、国内で初めて承認されたという点は、膀胱がんの当事者や家族にとって把握しておく価値のある変化といえる。主治医に確認するとしたら、自分のリスク分類が高リスクNMIBCに当たるか、BCGとの併用が自分の状態に適応されるか、この治療を受けられる施設かどうか、といった点が論点になりうる。治療の選択はあくまで主治医との相談によるものであり、この記事が方針を指示するものではない。

膀胱がんの基本的な情報は膀胱がんで、免疫チェックポイント阻害剤の仕組みは免疫チェックポイント阻害剤でそれぞれ詳しく解説している。

(Medister編集部 2026年9月3日)

本記事は2026年9月3日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の再発率などの数値は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. アストラゼネカ株式会社「イミフィンジ、日本初かつ唯一の高リスク筋層非浸潤性膀胱癌における免疫併用療法として承認を取得」(最終確認日: 2026年9月3日)
  2. Powles T, et al. Durvalumab in combination with BCG for non-muscle-invasive bladder cancer (POTOMAC). The Lancet. 2025. DOI: 10.1016/S0140-6736(25)01897-5(最終確認日: 2026年9月3日)

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