更新日:2026/09/01
食道がんに腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン注が発売――手術も化学放射線療法も受けられない患者さんへの新たな選択肢
腫瘍溶解ウイルス製剤「テロメライシン®注」(一般名: スラタデノツレブ)が、根治切除および化学放射線療法の適応とならない食道がんの治療薬として国内での製造販売承認を取得し、2026年8月21日に発売された。承認日は2026年6月8日で、同年8月13日に薬価が収載されている※1。製造販売元はオンコリスバイオファーマ株式会社で、富士フイルム富山化学株式会社が販売を担う※1。
発表のポイント
• 腫瘍溶解ウイルス製剤テロメライシン®注が2026年8月21日に発売。根治切除・化学放射線療法の適応とならない食道がんが対象※1
• ウイルスの力でがん細胞を選択的に破壊する新しい作用機序を持つ医薬品である※1
• 薬価は1瓶3,102,489円(2026年8月13日薬価収載)。公的医療保険の適用対象となるため、高額療養費制度が利用できる※1
概要
テロメライシン®注はヒトアデノウイルス5型(一般的なかぜの一因となるウイルスの一種)を遺伝子改変して作られた「腫瘍溶解ウイルス製剤」だ※1。腫瘍溶解ウイルスとは、がん細胞の中に選択的に入り込んで増殖し、がん細胞を内側から破壊することを目的として設計されたウイルス製剤の総称である。正常な細胞ではほとんど増殖しないよう遺伝子改変が施されている。
この薬剤の適応は「根治切除及び化学放射線療法の適応とならない食道癌」に限定される※1。食道がんに対する根治を目指す標準的な治療は、手術または抗がん剤と放射線を組み合わせた化学放射線療法だ。しかし心肺機能の低下や他の病気の状態、食道がんの部位や広がり方などの事情により、これらを受けることが医学的に難しい患者さんも一定数いる。テロメライシン®注はそうした患者さんを対象として設計された薬剤である。
薬価は1瓶3,102,489円と高額だが、日本では公的医療保険の適用を受けるため、高額療養費制度を利用することで実際の自己負担額は収入に応じた上限額に抑えられる可能性がある。費用の具体的な試算は、主治医や病院のソーシャルワーカーに確認することを勧める。
この記事の読者にとっての意味
この薬剤の対象となるのは、食道がんと診断されたなかでも「根治切除(手術)も化学放射線療法も、医学的な理由から受けることができない」と医師が判断した患者さんに限られる。食道がん患者さん全員が対象になるわけではない。2026年8月21日から国内での販売が始まっており、公的医療保険が適用された状態にある。ただし薬価が高額なため、費用負担の実態については個々の状況によって大きく異なる点に留意が必要だ。
主治医に確認するとしたら「自分の状態は根治切除や化学放射線療法の適応になるのか、それとも対象外になるのか」「テロメライシン注は自分の食道がんの治療に選択肢として入りうるか」「費用はどう試算されるか、高額療養費制度の適用でどう変わるか」といった点が手がかりになりうる。治療の判断は個々の病状・全身状態・希望などによって異なるため、担当医との相談が前提となる。
食道がんの標準的な治療や病期分類については食道がんのページで、がん治療の種類や仕組みについてはがんの治療方法についてのページでそれぞれ詳しく説明している。
(Medister編集部 2026年9月2日)
本記事は2026年9月2日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。
参考資料
- 富士フイルム富山化学株式会社「腫瘍溶解ウイルス製剤 テロメライシン®注 発売のお知らせ」(最終確認日: 2026年9月2日)


















