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更新日:2026/09/01

エンハーツが肺がん一次治療でPFS改善——DESTINY-Lung04第III相試験が速報を発表

第一三共とアストラゼネカが共同開発する抗HER2薬「トラスツズマブ デルクステカン(商品名エンハーツ)」が、HER2遺伝子変異陽性の切除不能・進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)を対象とした第III相DESTINY-Lung04試験において、一次治療として無増悪生存期間(PFS)を統計学的に有意に改善したと、2026年8月17日に速報として発表された※1。本発表はハザード比やPFS中央値などの詳細数値を含まないトップライン段階であり、データは今後の医学会議で公表される予定である。日本においてエンハーツは、HER2変異NSCLCに対して一定の適応で承認されているが、今回試験が評価した一次治療としての使用は現時点で国内未承認である。

発表のポイント

• 第III相DESTINY-Lung04試験(454例)で、エンハーツは標準治療(プラチナ製剤+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ)と比べてPFSを統計学的に有意に改善し、主要評価項目を達成した※1
• 本発表はトップライン(速報)段階であり、ハザード比・PFS中央値などの詳細数値は未公表で、今後の医学会議で提示される予定※1
• 安全性については既知のプロファイルと概ね一致し、新たな安全性上の懸念は認識されなかったと報告されている※1

概要

HER2(ヒト上皮成長因子受容体2型)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がんは、肺がん全体の一部を占めるサブタイプである。DESTINY-Lung04試験は、治療未経験のHER2変異陽性切除不能・局所進行または転移性NSCLC(非扁平上皮型)患者454例を対象に、エンハーツと標準治療の有効性と安全性を比較した第III相の無作為化試験である※1。

エンハーツ(一般名: トラスツズマブ デルクステカン)は、抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる種類の薬剤である。ADCとは、がん細胞の目印となるタンパク質(この場合はHER2)に結合する抗体と、細胞を傷害する薬物を化学的に結合させた構造を持ち、がん細胞を選択的に攻撃するよう設計されている。

比較対象となった標準治療は、プラチナ製剤(シスプラチン等)とペメトレキセドに免疫チェックポイント阻害剤のペムブロリズマブを組み合わせた三剤併用療法で、進行非小細胞肺がんの一次治療における標準治療として今回の比較対照に設定されたレジメンである。今回の試験では、この標準治療と比べてエンハーツがPFSを統計的に有意に延長したことが確認されたと発表されたが、具体的な延長幅やリスク比(ハザード比)は今後の学会発表で公表される予定である※1。

安全性については、これまでの試験で把握されているエンハーツの安全性プロファイルと概ね一致しており、新たな懸念は認識されなかったと報告されている※1。副作用の詳細については今後の医学会議での発表を待つ必要がある。

この記事の読者にとっての意味

この試験結果が関係するのは、HER2遺伝子変異陽性と診断された切除不能・進行または転移性の非小細胞肺がん(非扁平上皮型)と診断された患者さんです。HER2遺伝子変異を持つかどうかは、腫瘍組織を用いた遺伝子検査(がん遺伝子パネル検査などを含む)によって確認します。

今回の発表で最も重要な点は、現時点でこの一次治療の適応は日本国内で承認されていないということです。本発表はトップライン(速報)段階であり、詳細なデータは未公開で学会発表を待つ段階にあります。承認を取得するには、データの公表後に規制当局への申請・審査という手続きが必要です。日本では現在、エンハーツはHER2変異NSCLCに対して一定の適応で承認されていますが、今回の一次治療としての使用は承認されていません(承認されている治療ラインの詳細は、添付文書または主治医にご確認ください)。

主治医に相談する際の参考となる論点として、自分の腫瘍にHER2遺伝子変異があるかどうかの確認、現在利用できるHER2変異肺がんの治療の選択肢(既に承認済みの二次治療以降の治療など)、今後このデータが学会で発表された際にどのような意味合いを持つか、などが挙げられます。治療の選択は必ず主治医と相談のうえ行ってください。

肺がんの治療全般については「肺がん」の記事を、自分が遺伝子検査の対象になるかどうかについては「がん遺伝子パネル検査」の記事もあわせてご覧ください。

(Medister編集部 2026年9月2日)

本記事は2026年9月2日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

  1. Daiichi Sankyo(米国)「Enhertu Demonstrated Statistically Significant and Clinically Meaningful Improvement in PFS as First-Line Treatment of Patients with HER2-Mutant Advanced NSCLC in DESTINY-Lung04 Phase 3 Trial」(最終確認日: 2026年9月2日)

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