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更新日:2026/08/30

切除可能な胃がんに術前からの免疫薬という選択肢――デュルバルマブ+FLOT(D-FLOT療法)が国内承認、周術期治療に加わる

手術で切除できる可能性のある胃がん・胃食道接合部腺がんに対し、術前と術後を通じて免疫薬デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)を化学療法FLOTと組み合わせる治療法(以下、D-FLOT療法)が、2026年6月19日に国内で承認されました※1。同日付けで厚生労働省から最適使用推進ガイドライン(胃癌)が発出されており、要件を満たす医療機関では保険診療として利用できる状態です※1。デュルバルマブは肺がんや胆道がんの治療薬としてすでに国内で使われており、今回「胃がんの周術期(手術前後)」という新たな適応が加わりました。

発表のポイント

• デュルバルマブ+FLOT療法(D-FLOT)が2026年6月19日に国内承認。切除可能な胃がん・胃食道接合部腺がんの術前・術後補助療法として、保険診療で使える段階になった※1
• 承認の根拠となった国際第III相試験(MATTERHORN試験、対象948人)で、D-FLOT療法はFLOT単独療法と比べて病勢進行・再発・死亡のリスクを29%低下させた(ハザード比0.71)※2
• 同試験では病理学的完全奏効率(手術で切除した組織にがん細胞が残っていない割合)がD-FLOT群19.2%、FLOT単独群7.2%だった※2

概要

デュルバルマブは「免疫チェックポイント阻害薬」と呼ばれる種類の薬です。がん細胞は、免疫細胞の攻撃にブレーキをかける信号を出して自身を守ろうとします。デュルバルマブはこのブレーキの働きをするタンパク質(PD-L1)を阻害することで、免疫本来の力でがんを攻撃しやすくします。FLOT療法は、フルオロウラシル・ロイコボリン・オキサリプラチン・ドセタキセルを組み合わせた化学療法で、切除可能な胃がんの周術期治療として確立されています。

今回の承認の根拠となったのは、国際第III相ランダム化比較試験「MATTERHORN試験」です※2。手術で切除可能と判断された胃がん・胃食道接合部腺がんの患者948人を対象に、D-FLOT療法とFLOT単独療法を比較しました。主要評価項目の無イベント生存(EFS:病勢進行・再発・死亡のいずれかが起きるまでの期間)において、D-FLOT群がFLOT単独群を上回り、ハザード比0.71(リスク29%低下)が示されました※2。また手術で切除した組織にがん細胞が残っていない「病理学的完全奏効(pCR)」の割合は、D-FLOT群19.2%に対しFLOT単独群7.2%でした※2。

この承認には、厚生労働省が高額薬剤の適正使用を規律するために発出する「最適使用推進ガイドライン」が対象指定されています※1。ガイドラインには対象患者の条件や実施できる医療機関の要件が定められており、すべての医療機関で自動的に使えるわけではありません。

この記事の読者にとっての意味

今回の承認が対象とするのは、手術でがんを切除できると判断された臨床病期II〜IVAの胃がん・胃食道接合部腺がんの患者さんです。転移のある胃がん(ステージIV)や術後の経過観察中の患者さんとは対象が異なります。

D-FLOT療法は2026年6月19日付けで国内承認済みです。治験段階ではなく、最適使用推進ガイドライン(胃癌)が発出されており、要件を満たす医療機関であれば保険診療として受けられる段階にあります※1。ただし対象患者の条件・施設要件があるため、担当の医療機関が実施できるかどうかは個別に確認が必要です。

次の診察で主治医に確認できる論点として、「自分はD-FLOT療法(デュルバルマブ+FLOT)の対象になりますか」「術前から免疫薬を加える治療を検討できますか」といった点が考えられます。治療法の選択は病期・全身状態・腫瘍の特性など個別の状況をふまえた総合判断であり、主治医との相談が欠かせません。

胃がんの治療全般については胃がんの解説記事を、デュルバルマブと同じ免疫チェックポイント阻害薬の仕組みについては免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)の解説記事もあわせてご参照ください。

(Medister編集部 2026年8月31日)

本記事は2026年8月31日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

参考資料

  1. PMDA 医療用医薬品情報「イミフィンジ点滴静注120mg/500mg(デュルバルマブ(遺伝子組換え))」(最終確認日: 2026年8月31日)
  2. Al-Batran SE, et al. “Perioperative Durvalumab in Gastric and Gastroesophageal Junction Cancer.” N Engl J Med. 2025;393(3):217-229. DOI: 10.1056/NEJMoa2503701(最終確認日: 2026年8月31日)

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