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更新日:2026/08/29

MSI-High・Stage III結腸がんの術後補助療法、テセントリク(アテゾリズマブ)の適応拡大を中外製薬が申請——ATOMIC試験(第3相)が根拠

中外製薬は2026年8月14日、DNA修復機能欠損(dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有するStage III結腸がんを根治的に切除した後の術後補助療法として、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の適応拡大を厚生労働省に申請したと発表しました※1。申請の根拠となったのは、米国で実施された国際第3相試験「ATOMIC試験(NCT02912559)」です※1。2026年8月時点では、この適応(結腸がん術後補助)での国内承認はなく、現在のところ国内の病院では使用できません。アテゾリズマブ自体は別のがん種で国内承認済みですが、今回の適応とは別のものです。

発表のポイント

• 申請対象:根治切除後のdMMR/MSI-High陽性のStage III結腸がん(成人・小児)※1
• ATOMIC試験の3年無病生存率(DFS):アテゾリズマブ+mFOLFOX6群 86.3%、mFOLFOX6単独群 76.2%(HR 0.50、p<0.001)※1※2
• 2026年8月時点では日本未承認。承認・保険適用の時期は現時点で不明

概要

MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)とは、がん細胞のDNA修復の仕組みが正常に働かないことで生じる状態を指します。この状態はdMMR(ミスマッチ修復機能欠損)とも呼ばれ、大腸がんの中でも一定割合に見られます。MSI-Highのがんは免疫細胞が活性化しやすい性質を持ち、免疫チェックポイント阻害剤が効きやすいとされています※1。

ATOMIC試験は、dMMRを有するStage III結腸がんの根治術後患者712名を対象とした、米国の非盲検・無作為化第3相試験です※2。標準的な術後化学療法であるmFOLFOX6(6カ月間)のみを行う群と、mFOLFOX6(6カ月間)にアテゾリズマブを上乗せしてさらにアテゾリズマブ単独で計12カ月投与する群を比較しました※1。

主要評価項目の3年無病生存率(DFS)は、アテゾリズマブ併用群で86.3%(95%信頼区間:81.8–89.8)、mFOLFOX6単独群で76.2%(95%信頼区間:70.9–80.6)でした。再発または死亡のリスクは50%低下し(ハザード比0.50、p<0.001)、統計的に有意な改善が示されました※1。安全性については、肝機能障害・皮膚障害・甲状腺機能低下症などが報告されましたが、既存の安全性情報の範囲内で新たな懸念は確認されなかったとされています※1。

この試験の結果は、米国のNew England Journal of Medicine誌に2026年3月に掲載されました※2。

この記事の読者にとっての意味

今回の申請が関係するのは、結腸がんのStage III(リンパ節への転移はあるが遠隔転移はない段階)と診断され根治的な手術を受けた後の患者さん、かつ腫瘍のMSI-High(またはdMMR)検査が陽性だった方です。ただし、2026年8月時点ではこの適応での国内承認は得られておらず、国内の病院で術後補助療法としてアテゾリズマブを使用することは現在できません。承認・保険適用の時期は今後の審査次第であり、現時点では見通しが立っていません。

承認申請が出されたということは、審査のプロセスが始まったという意味であり、自動的に使えるようになるわけではありません。主治医に確認する論点として考えられるのは次のとおりです:「自分の結腸がんはMSI-High/dMMRの検査を受けているか」「術後補助化学療法の選択肢として、今後承認された場合にどのように考えるか」——ただしこれはあくまで論点の提示であり、治療の選択は個別の病態・治療歴に基づいて主治医と相談することが必要です。

大腸がんの全般的な解説は大腸がんの記事を、免疫チェックポイント阻害剤の仕組みについては免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)の解説もあわせてご参照ください。

(Medister編集部 2026年8月29日)

本記事は2026年8月29日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の統計値(無病生存率など)は臨床試験における集団を対象とした数値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 中外製薬株式会社「テセントリク、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸がんに対する術後補助療法として適応拡大申請」(2026年8月14日発表、最終確認日: 2026年8月29日)
  2. Sinicrope FA, et al. Atezolizumab plus mFOLFOX6 as adjuvant therapy for dMMR/MSI-H stage III colon cancer (ATOMIC trial; Alliance A021502). N Engl J Med. 2026;394(12):1115-1126. DOI: 10.1056/NEJMoa2507874 (PMID: 41880612)(最終確認日: 2026年8月29日)

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