更新日:2026/08/25
進行腎細胞がん二次治療、ベルズチファン+レンバチニブ併用が無増悪生存期間を延長——第3相LITESPARK-011試験
抗PD-1/PD-L1療法(免疫チェックポイント阻害剤)による治療後に病気が進行した進行淡明細胞型腎細胞がんの患者さんを対象とした国際第3相試験「LITESPARK-011」の結果が、2026年8月に医学誌『The Lancet』に掲載されました※1。試験では、ベルズチファン(商品名:ウェリレグ)とレンバチニブ(商品名:レンビマ)の併用療法が、標準的な二次治療薬であるカボザンチニブ(商品名:カボメティクス)単剤と比較して、無増悪生存期間(PFS:がんが進行しないまま過ごせる期間)を統計的に有意に延長しました※1。ただし、この併用療法は2026年8月時点で日本では未承認であり、国内での使用は現在できません。
発表のポイント
• 主要評価項目のPFS中央値:併用群14.8カ月 vs カボザンチニブ群10.7カ月、疾患進行・死亡リスク30%低減(HR 0.70、95%CI 0.59–0.84、p=0.00007)※1
• 奏効率(ORR):併用群52.6% vs カボザンチニブ群39.6%※1
• 全生存期間(OS)には統計的に有意な差は認められなかった(HR 0.85、p=0.06075)※1
概要
腎細胞がんの多くを占める淡明細胞型では、VHL遺伝子の異常によって低酸素誘導因子(HIF-2α)が過剰に働き、がん細胞の増殖を促します。ベルズチファンはこのHIF-2αを選択的に抑える薬で、日本では別の適応症(VHL病に伴う血管芽腫・淡明細胞型腎細胞がん・膵腫瘍)に対して既に承認されています。レンバチニブは血管新生を抑えるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)で、腎細胞がんの治療にも使用されています。今回の試験はこの2剤を組み合わせた効果を検証したものです。
LITESPARK-011試験は、抗PD-1/PD-L1療法後に増悪した進行淡明細胞型腎細胞がんの患者747名(ベルズチファン+レンバチニブ群370名、カボザンチニブ群371名)を対象とした国際・非盲検・無作為化第3相試験です。追跡期間の中央値は29.0カ月でした※1。
主要評価項目であるPFS中央値は、併用群14.8カ月(95%CI 11.2–16.6)、カボザンチニブ群10.7カ月(95%CI 9.2–11.1)で、疾患進行・死亡リスクが30%低下しました(HR 0.70、95%CI 0.59–0.84、p=0.00007)。腫瘍の縮小が確認された割合(奏効率)は併用群52.6%、カボザンチニブ群39.6%でした※1。
一方、最終的な治療の目的である全生存期間(OS)については、併用群の中央値34.9カ月、カボザンチニブ群27.6カ月とともに両群で長い傾向が見られましたが、統計的に有意な差は認められませんでした(HR 0.85、95%CI 0.68–1.05、p=0.06075)※1。試験は継続中であり、OS解析は今後更新される予定です。PFSの改善が最終的な延命につながるかどうかは、現時点では確認されていません。
安全性の面では、Grade 3以上の治療関連有害事象が併用群71.6%、カボザンチニブ群65.8%に認められ、併用群でやや多い傾向でした※1。有害事象に関連した死亡も両群で報告されており、安全性への注意は依然として必要です。
この記事の読者にとっての意味
今回の試験結果が関係するのは、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-1/PD-L1療法)による治療を受けた後に病気が進行した進行淡明細胞型腎細胞がんの患者さんです。いわゆる二次治療以降の選択肢として、その有効性が第3相試験で示されました。
ただし、この併用療法(腎細胞がんに対するベルズチファン+レンバチニブ)は、2026年8月時点で日本では承認されておらず、国内の病院では使用できません。エーザイは日本での追加申請を予定していると発表しており、今後の審査状況が注目されますが、承認・保険適用の時期は現時点では不明です。今回の試験結果はあくまで海外で実施された試験の報告です。
主治医への確認として考えられる論点は次の通りです:「現在受けている治療が進行した場合の次の選択肢として、何が考えられるか」「腎細胞がんの二次治療において、今回の試験結果は自分の状況に関係するか」——ただし治療の選択は個別の病態・体の状態・治療歴によって異なるため、あくまで主治医との相談のなかで確認することをお勧めします。
腎細胞がんの全般的な解説は腎細胞がんの記事を、免疫チェックポイント阻害剤についてはがん治療における免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)の解説もあわせてご参照ください。
(Medister編集部 2026年8月26日)
本記事は2026年8月26日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。記載の統計値(無増悪生存期間・奏効率・全生存期間など)は臨床試験における集団を対象とした数値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。
参考資料
- Powles T, et al. Belzutifan plus lenvatinib versus cabozantinib in previously treated advanced renal cell carcinoma (LITESPARK-011): a phase 3 trial. The Lancet. 2026. DOI: 10.1016/S0140-6736(26)01089-5(最終確認日: 2026年8月26日)
- エーザイ株式会社「LITESPARK-011試験においてウェリレグ(ベルズチファン)+レンビマ(レンバチニブ)併用療法が腎細胞がん患者の無増悪生存期間を有意に改善」(2026年3月27日発表、最終確認日: 2026年8月26日)


















