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更新日:2026/08/25

切除可能な非小細胞肺がんの周術期ニボルマブ療法——バイオマーカー解析で血液中の腫瘍由来DNAの消失が治療効果と関連(CheckMate 77T)

切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対する周術期ニボルマブ(商品名:オプジーボ)併用療法を評価した第3相試験「CheckMate 77T」(対象461名、ステージIIA-IIIB)について、血液中の腫瘍由来DNA(ctDNA)の動態と治療効果の関連を調べたバイオマーカー探索解析の結果が、2026年にNature誌に掲載されました※1。手術前にctDNAが消失した患者さんでは、消失しなかった患者さんと比べて無イベント生存期間(EFS:手術後に再発・死亡なく過ごせる期間の指標)が良好であることが示されましたが、これは探索的解析であり、日常診療でctDNAの測定値によって治療を決める標準的な方法はまだ確立されていません。

発表のポイント

• 手術前のctDNAクリアランス(血液中から腫瘍由来DNAが検出されなくなること)が得られた患者さんでは、クリアランスが得られなかった患者さんよりも無イベント生存期間が良好であることが示された※1
• このバイオマーカー解析は探索的(仮説を生成するための補助的な)解析であり、ctDNA検査によって治療方針を決める標準的な手段は確立されていない※1
• CheckMate 77T試験全体のEFS改善効果(ニボルマブ群 vs プラセボ群)は既報であり※1、今回の解析はどの患者さんでより効果が出やすいかの手がかりを探ることを目的としたもの

概要

周術期(しゅうじゅつき)とは、手術の前後を合わせた治療期間のことです。CheckMate 77T試験では、切除可能なNSCLC(ステージIIA~IIIB)の患者さん461名を対象に、「術前のニボルマブ+化学療法(プラチナ製剤ベース)→手術→術後のニボルマブ」というレジメンと、「術前のプラセボ+化学療法→手術→術後のプラセボ」を比較しました。主要評価項目であるEFSの改善は既に報告されています※1。

今回発表されたのは、そのバイオマーカー探索解析です。ctDNA(循環腫瘍DNA)とは、がん細胞が血液中に放出するDNA断片のことで、血液検査(いわゆる「リキッドバイオプシー」)で検出します。治療前後の血液を採取し、手術前の時点でctDNAが検出されなくなった(クリアランスが得られた)かどうかを調べ、その後の治療経過(EFS)との関連を分析しました。術前の治療でctDNAが消失した患者さんの割合はニボルマブを用いた群でより高く、またctDNAが消失した患者さんでは、消失しなかった患者さんと比べて無イベント生存期間が良好である傾向が報告されました。個別の数値の解釈には原著論文全文の確認が必要なため、本記事では方向性の報告にとどめます※1。

ただし今回の解析はあくまで探索的解析(今後の研究仮説を立てるための補助的な分析)であり、現時点でctDNAの値で治療の要否や種類を変えることを支持する根拠にはなりません。

この記事の読者にとっての意味

今回の解析が関係するのは、切除可能な非小細胞肺がん(ステージII〜IIIB程度)と診断され、手術を含む治療を検討している患者さんです。

治療の位置づけについては、以下のように整理できます。

CheckMate 77T試験の「術前ニボルマブ+化学療法→手術→術後ニボルマブ」という周術期レジメン全体については、2026年8月時点でがん情報サービスは切除可能NSCLCの術前治療において免疫チェックポイント阻害薬と細胞障害性抗がん薬の組み合わせを選択肢として記載していますが※2、CheckMate 77Tで評価された「術前+術後にわたる周術期ニボルマブ」の組み合わせが日本で承認されているかどうかは、公的機関の資料から本記事作成時点では確認できませんでした。治療を検討している方は担当医に現在の承認・保険適用状況をご確認ください。

一方、今回の解析で注目されたctDNA検査については、日常診療で治療方針の決定に用いる標準的な手段ではなく、研究段階にあります。 血液でがんの状態を調べる「リキッドバイオプシー」の有用性を評価する研究は世界中で進んでいますが、現時点でこの検査結果に基づいて治療を選択・変更することは、臨床試験の枠組みの外では標準的に行われていません。

主治医に確認するとしたら、次のような論点が考えられます:「切除可能な肺がんに対して、術前・術後両方で免疫療法を使う選択肢は自分の状況で考えられるか」「ctDNA検査(リキッドバイオプシー)は現時点で治療の判断に使われているのか」——ただし、治療の選択は病期・がんの組織型・遺伝子変異の有無・全身状態など個別の要因によって大きく異なるため、あくまで主治医との相談の中で確認してください。

肺がんの全般的な解説は肺がんの記事を、免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)については免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ)の解説もあわせてご参照ください。

(Medister編集部 2026年8月26日)

本記事は2026年8月26日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。今回紹介したバイオマーカー解析は探索的な研究段階の知見であり、日常診療での利用を推奨するものではありません。記載の統計的な知見は臨床試験における集団を対象とした結果であり、個々の患者さんの予後・治療効果を示すものではありません。

参考資料

  1. Nature「Biomarkers of nivolumab benefit in resectable non-small cell lung cancer」(2026年)DOI: 10.1038/s41586-026-10925-6(最終確認日: 2026年8月26日)
  2. 国立がん研究センター がん情報サービス「非小細胞肺がんの治療」(最終確認日: 2026年8月26日)

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