google+
はてなブックマーク
LINE
  • Medister
  • コラム
  • 書評
  • 医療系企業・特集
がん治療.com おすすめコンテンツ
心理状態の遷移
告知をされてから、がん患者の心理はどのように遷移するのか?
ストレス解消法
がん治療は大きなストレスとなりますが、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。
医師との付き合い方
がん治療するうえで、医師と上手に付き合っていくには?
  • がん治療.com コンテンツ一覧
  • がん治療.com 用語集

更新日:2026/08/24

未分化型の早期胃がん、内視鏡切除(ESD)で10年後も良好——胃を残す選択の長期データ

潰瘍のない2cm以下の未分化型早期胃がんに対して内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行い、胃を残したままでも約10年にわたって良好な成績が維持できることを、国立がん研究センターを中心とする研究グループが2026年8月7日に発表しました。臨床試験JCOG1009/1010(非ランダム化検証的試験、登録346名)の追跡結果として、消化器病学の国際誌Gastroenterologyに掲載されました。ESDは日本でも保険適用済みの標準的な内視鏡治療ですが、未分化型早期胃がんへの適用については長期の安全性データが求められていました。今回の10年データはその問いに対する一つの答えとなります※1。

発表のポイント

• 観察期間中央値125.8か月(約10.5年)を経て、10年全生存割合は96.2%(95%CI:93.1〜97.9%)※1
• 10年無再発生存割合は95.7%(95%CI:92.4〜97.6%)。治癒切除後195名中、5年以降に再発が確認されたのは1名のみ※1
• 経過観察中に別の部位に新たながん(異時性胃がん)が発見された13名のうち8名は、再びESDで対応が可能だった※1

概要

胃がんは病理学的に「分化型」と「未分化型」に大きく分けられます。未分化型(低分化腺がんや印環細胞がんなど)は細胞の形が正常な細胞と異なる度合いが大きく、一般にリンパ節への転移リスクが懸念されやすい性質があります。こうした背景から、未分化型の早期胃がんは従来、胃の一部または全部を切除する外科手術が標準的に選ばれてきました。

JCOG1009/1010は、その常識を問い直す試験として2011年から2013年にかけて346名を登録しました。適格条件は、内視鏡で未分化型と確認され、がんが胃の一番浅い層(粘膜内=T1a)にとどまり、腫瘍の最大径が2cm以下で、潰瘍および潰瘍瘢痕(過去の潰瘍の痕跡)がなく、リンパ節・遠隔転移がないことでした※1。これらの条件を満たす患者にESDを行い、長期の安全性を検証しました。

今回報告された観察期間中央値125.8か月の結果によれば、主たる解析対象となった未分化型優位の275名において、10年全生存割合は96.2%、10年無再発生存割合は95.7%でした※1。治癒切除が確認された195名に限ると、5年を超えた時点での再発はわずか1名にとどまっています※1。また定期的な内視鏡検査を続けることで、別部位に新たに発生したがんの多くが早い段階で発見され、再度ESDで対処できた点も確認されました※1。

この記事の読者にとっての意味

この研究の対象は、胃がんの中でも「潰瘍のない2cm以下の未分化型早期胃がんで、粘膜内にとどまりリンパ節・遠隔転移がない」と診断された方です。「未分化型」という言葉は、告知を受けた患者さんや家族にとって不安を感じやすい響きを持ちます。しかし今回のデータは、厳格な適応条件を満たすケースでは、胃を残す内視鏡治療によっても10年にわたって良好な成績が得られることを示すものです。

ESDは現在、日本国内で保険適用済みの治療です。今回の研究は、その治療を選んだ患者さんたちの「10年後はどうなっているか」を示した長期エビデンスの確立という位置づけです。

主治医と話すときに確認するとよい論点として、自分の病変の大きさが2cm以下かどうか、潰瘍や潰瘍の痕(潰瘍瘢痕)がないかどうか、がんが粘膜の表層にとどまっているかどうか、といった点が挙げられます。適応条件に当てはまるかどうかは画像検査や病理検査の結果をふまえた判断になるため、主治医へご確認ください。ESD後の定期的な内視鏡検査(異時性がんの早期発見のため)の計画についても、担当医に聞いておく価値があるでしょう。

胃がん全般の情報は胃がん、治療の選択肢についてはがんの治療方法についてもあわせてご参照ください。

(Medister編集部 2026年8月25日)

本記事は2026年8月25日時点の公的機関の情報および診療ガイドラインをもとに、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個々の患者さんの診断・治療方針を示すものではありません。治療の選択にあたっては、必ず主治医にご相談ください。

記載の生存率は集団を対象とした統計値であり、個々の患者さんの見通しを示すものではありません。

参考資料

  1. 国立がん研究センター「未分化型早期胃がんに対する内視鏡治療(ESD)の有効性を10年間の長期にわたる経過観察で検証~未分化型も内視鏡治療で胃の温存が可能~」(2026年8月7日発表、最終確認日: 2026年8月25日)/Abe S, Takizawa K, Ono H, et al. Gastroenterology. 2026. DOI: 10.1053/j.gastro.2026.06.028

ページの上部へ戻る

がんの種類アクセスランキング

ページの先頭へ

医療系企業・特集

戦国武将とがん

書評

がんの種類